日本人の心と田中角栄
保守的実利主義とポピュリスト的な近代化論。 彼は「結果第一主義」という哲学を体現しており、机上の空論よりも具体的な行動に価値を置いた。学歴を持たない叩き上げの政治家でありながら、人間と社会の仕組みに対する深い洞察を通じて、巨大な影響力を築き上げた。
非妥協的な戦略的指導力。 彼のスタイルは、強固な影響力ネットワーク(越山会)の構築、有権者の絶対的な忠誠心を得るための具体的な公共事業(インフラ)の実現、そして政治的手段としての資金の非情な活用であった。戦後日本の「闇将軍」として、国家建設のビジョンと、舞台裏からの最高権力操作能力を兼ね備えていた。
田中は飾り気のない実利主義を代表する。「先に実行し、後に公表する」、「形式よりも本質が重要である」、「実際の勢力は肩書を超える」。その態度は「庶民的でありながら抜け目なく、大胆でありながら計算高い」ものであった。