にしをは失業した。
「ごめん、解雇になった」
ありのまま伝えた。
妊娠している妻から返ってきた言葉に、僕はびっくりした。
『明日から家にいるってこと?ラッキー!デート行こうぜ!』
思わず笑ってしまった。
肩透かしを食らった気分とはこのことだ。
思えば確かに仕事ばっかりで、一緒に過ごす時間が減っていたなと。
妻にとっては、まず一緒に居られる時間が増えることの喜びが先だった。
翌日、僕らは本当にデートへ行った。
インスタで調べた、とある古民家カフェへ。
「不安じゃないの?怒らないの?」
妻へ思わず聞いてしまった。
怒りの言葉も、悲しみの言葉もなかったからだ。
妻は言った。
『あなたなら、なんとかすると思ってるよ。
だから不安はないよ。むしろ、しばらくは一緒にいれると思うと嬉しい。』
本当に泣きそうになりました。
こんなにも信頼してくれているのかと。
もしかしたら、気を遣ってくれたのかもしれない。
真意は妻にしかわからない。
でも、僕は本当にこの人で良かったと思った。
頑張るしかない。
妻のためにも、産まれてくる子のためにも。
そう強く思わせてくれた日でした。
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2026年某日
僕は失業しました。