【現代語訳】『立正安国論』(1)【日蓮大聖人】
Автор: 日蓮御書チャンネル
Загружено: 2021-05-19
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日蓮大聖人の御書を現代語訳で朗読しています。
『立正安国論』
系年 文応1年(1260) 39歳
対告 北条時頼
真蹟 千葉県中山法華経寺蔵
<読み下し>
旅客来たりて歎きて曰く、近年より近日に至るまで、天変・地夭・飢饉・疫癘、遍く天下に満ち、広く地上に迸る。牛馬巷に斃れ、骸骨路に充てり。死を招くの輩既に大半に超え、之れを悲しまざるの族敢へて一人も無し。然る間、或は利剣即是の文を専らにして西土教主の名を唱へ、或は衆病悉除の願を持ちて東方如来の経を誦し、或は病即消滅不老不死の詞を仰ぎて法華真実の妙文を崇め、或は七難即滅七福即生の句を信じて百座百講の儀を調へ、有るは秘密真言の教に因りて五瓶の水を灑ぎ、有るは坐禅入定の儀を全うして空観の月を澄まし、若しくは七鬼神の号を書して千門に押し、若しくは五大力の形を図して万戸に懸け、若しくは天神地祇を拝して四角四堺の祭祀を企て、若しくは万民百姓を哀れみて国主国宰の徳政を行ふ。然りと雖も唯肝胆を摧くのみにして弥飢疫に逼り、乞客目に溢れ死人眼に満てり。臥せる屍を観と為し並べる尸を橋と作す。観れば夫れ二離璧を合はせ五緯珠を連ぬ。三宝世に在し、百王未だ窮まらざるに、此の世早く衰へ、其の法何ぞ廃れたるや。是れ何なる禍に依り、是れ何なる誤りに由るや。
主人の曰く、独り此の事を愁ひて胸臆に憤悱す。客来たりて共に歎く、屡談話を致さん。夫れ出家して道に入る者は法に依りて仏を期するなり。而るに今神術も協はず、仏威も験無し。具に当世の体を覿るに、愚かにして後生の疑ひを発す。然れば則ち円覆を仰ぎて恨みを呑み、方載に俯して慮りを深くす。倩微管を傾け聊か経文を披きたるに、世皆正に背き人悉く悪に帰す。故に善神は国を捨てて相去り、聖人所を辞して還らず。是れを以て魔来たり鬼来たり災起こり難起こる。言はずんばあるべからず、恐れずんばあるべからず。
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