おこめ券は非効率な政策なのか、識者「減反政策との両立はマッチポンプ」 予算の約24%が手数料や経費に消える自治体も 最高値を更新するコメ、価格はいつ下がる?
Автор: ABCテレビニュース
Загружено: 2025-12-08
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高止まりが続くコメ。スーパーの平均価格は、最新の発表(11月24〜30日)で5キロ4335円と、最高値を更新しています。コメの価格は上がり続けるのか。キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁氏と”深掘り”します。
・“おこめ券”配布、約24%が手数料や経費に消える自治体も
コメの価格が高止まりする中、政府は自治体が自由に使える重点支援地方交付金を拡充し、2兆円を計上しました。このうち4000億円を食料品の物価高騰に対する特別加算分とし、自治体による「おこめ券」の配布を後押ししています。
ただ、交付金の運用については自治体の判断に委ねられています。おこめ券は経費率が高く、配布事務の手数料がかさむとして、別の支援策を検討する自治体もあります。大阪市の横山市長は4日、おこめ券の配布ではなく、プレミアム付商品券を発行する方針を明らかにしています。
そもそもおこめ券とは、全米販が発行する「全国共通おこめ券」と、JA全農が発行する「おこめギフト券」の2種類あります。ともに1枚500円で販売され、440円分を購入できます。差額の60円は手数料で、印刷代や配送費、利益などが乗せられています。そのため、自治体からは「おこめ券の事業者が儲かる仕組みになっている」といった指摘が出ています。農水省は、経済対策のおこめ券に使用期限を設ける方針で、来年9月末までで調整を進めているということです。
実際に自治体の判断でおこめ券を配る場合、経費はどれぐらいかかるのでしょうか。大阪府豊中市はおこめ券を全ての世帯に配布することを決めました。1世帯あたり4400円分のおこめ券を配り、来年2月以降に郵送する予定です。
全体予算は約11億6000万円となっています。このうち手数料が約1.2億円となり、郵送料などの経費が約1.6億円です。つまり約24%が手数料や経費としてかかり、政策としては非常に効率の悪いものとなります。担当者は「もともと独自で『おこめ券』を配布する予定にしていた。今回、国からの交付金を予算に充てる」と話しています。
・コメ価格はいつ下がる? 「早ければ今月」「来年の秋」意見分かれる
米穀機構の調査で、今後3カ月の主食用コメ価格の見通しを示す指数の11月の値は32となりました。指数は50が横ばいを示します。
卸売業者は危機感を示しています。コメ卸の最大手・神明HDの藤尾社長は「このままいけば暴落するのは間違いない」と述べています。集荷・卸売業のギフトライス・恩田社長は「暴落する可能性は春が一番大きい。億単位の損害が出る」といいます。
流通経済研究所の折笠俊輔主任研究員は「早ければ今月にも下がるが、本格的には年明け以降に下がるのでは。4500円以上のコメが10%程度下がってくるだろう」と予想しています。一方で、キヤノングローバル戦略研究所の山下氏は「少なくとも来年秋まで下がらない」と指摘します。
山下氏はなぜコメの高値が続くと予想しているのでしょうか。
今年は、JAなどの集荷業者が農家に前払いする「概算金」が上昇し、去年と比べ最高1.7倍になりました。これに伴い、卸業者がJAに支払う額も上がっています。卸売業のギフトライスによると、去年比で1.4倍ほど高くなっているということです。ただ、小売店からは「安くしてほしい」と要望が上がっていて、卸売業者の倉庫には出荷されていないコメが山積みになっているところもあります。
山下氏:生産量が増えているので、本来ならばコメ価格は下がるはず。しかし市場に流通する量を制限することで、高い値段を維持している。JAとしても、高い概算金を払ってるので、卸売業者に売る価格も高いまま維持したい。
来年秋にコメ価格が下がる根拠として、山下氏は別の理由も挙げます。
コメの価格の高止まりが続くと、消費者のコメ離れが予想されます。海外からの輸入米も増えることが考えられます。そうなると、在庫量が今後さらに大幅に増える可能性があります。コメが余りすぎると、来年秋の概算金が下がる。従って「来年秋にコメの価格が下がる」ということです。
・鈴木大臣が石破政権の増産方針を転換 「減反政策をやめて増産するべき」と山下氏
山下氏は「一連の混乱は政府が推進する減反政策が招いた」と指摘します。
そもそも減反政策は、国がコメの生産量をコントロールし、コメの価格を一定に維持しようとするもので、1971年に導入されました。2018年、安倍政権のときに減反政策は廃止されましたが、「コメから麦や大豆などに転作すれば補助金がもらえる」ため、事実上の減反政策が続いていると指摘されてきました。
今年、コメの価格が大幅に上がったことで、石破政権はコメを増産する方針へと舵を切りました。しかし、10月に高市政権が発足。新たに就任した鈴木農水大臣は「需要にあわせて生産する」と、石破政権の増産方針から再び転換しました。
山下氏:減反政策の補助金に約3500億円、おこめ券などの支援金に約4000億円がかかっている。コメ価格を引き上げる政策を打ちつつ、さらに支援金をかけているのは、まさにマッチポンプだ。
山下氏は「減反政策をやめて増産すべき。中規模・大規模農家を増やすべき」と語ります。
日本の農家の現状をみていくと、規模が1ha未満の農家の数は全体の52.0%。10ha以上の農家の数は6.5%です。一方で面積全体の占める割合でみると、1ha未満の農家の占める割合は7.6%。10ha以上の農家の占める割合は63.1%です。つまり全体の7%に満たない中規模・大規模農家が、6割以上の耕作面積を有していることになります。山下氏は「10ha以上の農家であれば、市場価格が5キロ1600円でも経営は十分成り立つ」といいます。
山下氏:コメの生産コストをみると、0.5ha未満の農家は、30ha以上の農家と比べて、3倍かかっている。1ha未満の農家は、1990年ぐらいには180万戸だったのが、今は40万戸に減っている。だんだんと規模の大きい農家に集積してきている。中規模・大規模農家の土地が広がると、収益が上がる。零細農家は中規模・大規模農家に土地を貸して、地代をもらう対価として、水路や農道などの維持管理に従事すれば、全体の効率が上がる。
その一方で、流通経済研究所の折笠研究員は「大規模農家を増やすことも必要だが、零細農家も日本の農業基盤を支えている。水の管理や、あぜ道・農地の維持など、零細農家の役割も大きい」と言います。「零細農家は生産コストがかかるので、市場価格5キロ=3500円が望ましい」としています。
(「newsおかえり」2025年12月8日放送分より)
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