モーツァルト 交響曲第40番 ト短調 K 550. 第4楽章：アレグロ・アッサイ（非常に速く、力強い終楽章）

🎼 基本情報
作曲者： ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト（Wolfgang Amadeus Mozart）
作曲年： 1788年7月25日
調性： ト短調（G minor）
ケッヘル番号： K.550
楽章構成： 全4楽章
愛称： 一般的に「モーツァルト交響曲第40番」と呼ばれ、公式な愛称はなし

🎻 特徴と歴史的背景
この曲は、モーツァルト晩年の三大交響曲（第39番、第40番、第41番「ジュピター」）の一つであり、わずか6週間でこの3曲を完成させたとされています。

ト短調という調性はモーツァルトの作品の中でも珍しく、強い悲劇的な感情と緊張感を持ち、彼の交響曲の中でも最も感情的で情熱的な作品の一つです。
当時主流だった明るく陽気な作風とは対照的に、この曲には暗い感情や内面的な苦悩が込められており、後のロマン派作曲家（シューベルト、メンデルスゾーン、ブラームスなど）にも大きな影響を与えました。

🎶 各楽章の説明
第1楽章：モルト・アレグロ（非常に速く）
緊張感あふれる速いテンポ
短く印象的な動機の反復と展開
ト短調の激しい情緒を表現

第2楽章：アンダンテ（ゆっくりと）
比較的穏やかな旋律
しかし、内に不安を感じさせる

第3楽章：メヌエット ― アレグレット
伝統的なメヌエット形式だが、重く暗い舞踏会のような印象
中間部（トリオ）は比較的明るい雰囲気

第4楽章：アレグロ・アッサイ（非常に速く）
急速で激しい終楽章
執拗に繰り返される動機が展開され、劇的に締めくくられる
最後まで緊張感を保ち、強烈な印象を残す

🎧 鑑賞ポイント
交響曲第40番は単なる「美しさ」では語れない、モーツァルト自身の内面の葛藤と苦悩が込められています。
感情の極端な対比と構造的な完成度が共存しており、古典派の形式を基にしながらもロマン的な表現が強く現れた作品です。
オーケストレーションは控えめながら非常に効果的で、後期交響曲の新しい地平を切り開く革新的な作品でもあります。