木管五重奏 5声のパヴァーヌ 第7番〈シャープ・パヴァーヌ〉
Автор: Hiroaki Se
Загружено: 2026-01-13
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木管五重奏 5声のパヴァーヌ 第7番〈シャープ・パヴァーヌ〉
アルフォンソ・フェッラボスコ 2世
Pavan à5 No.7《Sharp Pavan》
Alfonso Ferrabosco II(c.1575–1628)
編成はフルート、オーボエ、クラリネット2本、ファゴットです。
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1. 背景
フェッラボスコ2世はエリザベス朝から初期ステュアート王朝にかけて宮廷で活躍した作曲家で、
イングランドのヴァイオル合奏音楽(consort music) を代表する存在。
彼の《Pavan à5》シリーズは、教育的性格と芸術的完成度を兼ね備え、イングランドの音楽家たちに長く親しまれました。
《No.7 Sharp Pavan》は、その中でも特異な作品で、「Sharp(シャープ)」の名が付いているのは、調性や旋法上の特徴(特に臨時記号の頻出)によると考えられています。
2. 編成と形式
編成:ヴァイオル・コンソート(5声:トレブル、アルト、テナー×2、バス)。
形式:典型的な三部形式(AABBCC)。各部は模倣的展開を伴い、反復されます。
3. 音楽的特徴
調性(モード)
「Sharp Pavan」と呼ばれる理由は、ほかのパヴァーヌよりも 臨時記号(♯)が多く使われることにあります。
ルネサンス音楽としては珍しく、半音階的な進行や「シャープ系」の旋律変化が多く、響きに緊張感が漂います。
旋律素材
主題は長めの旋律で、荘重で落ち着いた雰囲気。
ただし「半音上行」や「不協和的な経過音」の使用により、他のパヴァーヌよりもドラマティックな表情を持っています。
対位法
各声部に主題やモチーフが模倣的に現れ、密度の高いポリフォニーを形成。
特に内声部の絡みが豊かで、半音階進行が強調される部分では、和声的緊張感が際立ちます。
和声
終止では伝統的なモード的安定感を示すものの、部分的に和声進行が不安定で、後のバロック的感覚を予感させる響きも。
4. 性格と表現
フェッラボスコのパヴァーヌは一般に荘重で瞑想的ですが、
Sharp Pavan は特に憂愁・緊張感・内面的な深さを持つと評されます。
そのため、単なる舞踏曲ではなく、精神的な黙想音楽として演奏されることも多いです。
5. 位置づけ
《Pavan à5 No.7 “Sharp Pavan”》は、フェッラボスコ2世のパヴァーヌ群の中で最も個性的な作品の一つ。
他の「4音主題」「7音主題」のような数的制約を超え、半音階的表現を探求した実験作と見ることができます。
こうした要素は後の ロバート・ジェンキンスやマシュー・ロックといった作曲家たちの「濃密で表情的なコンソート音楽」にもつながっていきます。
まとめ
《Pavan à5 No.7 “Sharp Pavan”》は、フェッラボスコ2世のパヴァーヌの中で特に臨時記号(♯)が多用され、半音階的で緊張感ある響きを特徴とする作品。荘重さに加え、憂愁とドラマティックな表現を兼ね備え、ルネサンス末期からバロック初期への橋渡しを示す重要な一曲。
フェッラボスコ2世のパヴァーヌ群は、当時のイングランドで「器楽ポリフォニーの粋」とされ、バードやジェンキンス、ギボンズらの作品にも影響を与えました。
Pavan(パヴァーヌ)という舞曲形式について(音楽史的背景から特徴まで)
1. 起源と時代
起源:16世紀初頭のイタリア。語源は「パドヴァの舞曲(Padovana)」に由来するとも、スペイン語の「pavón(孔雀)」に由来するとも言われています。
普及:ルネサンス後期から17世紀初頭にかけて、ヨーロッパ各地で非常に人気がありました。特にイングランド、フランスで多く作曲されています。
役割:宮廷の公式行事や儀式で演奏される荘重な舞曲。バロック時代初期には次第に衰退しました。
2. リズムと拍子
拍子:通常は二拍子(2/2 =カットタイム)。
テンポ:ゆったりとした歩くようなテンポ。
リズム:均整のとれたフレーズが特徴で、しばしば2小節または4小節単位で進行。
3. 形式
三部構造(AABBCC) が一般的。
各部は反復される(リピート付き)。
しばしば次の「Galliard(ガイヤルド、跳躍的で速い三拍子舞曲)」と対で組まれることが多い。
多声音楽との融合:声楽的パヴァーヌや器楽合奏用のパヴァーヌも多く作られ、模倣や対位法的処理が多用されました。
4. 音楽的特徴
荘重で静かな雰囲気:宮廷的で威厳を持ち、祝典の入場行進曲のような性格を持つ。
旋律:平穏で流麗。しばしばカデンツは明快で、典礼音楽にも使えるほど整然としている。
対位法:イングランドの作曲家(フェッラボスコやバード)は、短いモチーフを展開して緻密なポリフォニーを構築しました。
5. 代表的な作曲家と作品
イタリア:Andrea Gabrieli, Claudio Merulo など。
イングランド:William Byrd, Alfonso Ferrabosco II, John Dowland。
フランス:Claude Gervaise など。
ドイツ:Michael Praetorius(舞曲集『Terpsichore』に収録)。
6. 意義
舞曲としての役割:宮廷社会における儀礼・格式を象徴する舞曲。
芸術的発展:単なる舞踏音楽に留まらず、主題展開や対位法練習の題材としても重要視された。
音楽史的な位置付け:ルネサンス舞曲の代表格であり、後の「組曲(Suite)」の冒頭曲に選ばれることもありました(ただしフランス組曲ではアルマンドなどに置き換わっていく)。
つまり「Pavan」は、ゆったりとした歩みのような二拍子舞曲であり、荘重さと対位法的構築性を兼ね備えた、ルネサンスを象徴する舞曲形式なのです。
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