維新“連立の絶対条件”に掲げるも…審議入り見通せず『議員定数削減』見送りの公算大【報道ステーション】(2025年12月12日)

日本維新の会が自民党と連立を組む際に“一丁目一番地”に掲げた『議員定数削減』。その法案の今の国会での成立が見送られる公算が大きくなってきました。ただ、両党の間には“温度差”も。

■維新　連立の“絶対条件”に掲げるも…

日本維新の会　吉村洋文代表
「結論を出さずに終わると。こんな政治はまっぴらごめん。会期延長したらいい。会期延長してでも結論を出すべき」

吉村代表の不満の種は、議員定数削減の議論が遅々として進まないことです。臨時国会の会期は、残り5日と差し迫っています。

日本維新の会　吉村洋文代表
「議員定数に関する法案、これは国会に提案している。延長してでも結論出すべき。決めない国会まっぴらごめん」

定数削減が今国会のテーマに急浮上したのは、2カ月前のことでした。

日本維新の会　吉村洋文代表（10月16日）
「政治改革の一丁目一番地で一番難しいのは議員定数の削減。これは自民党も民主党も今まで約束したけど、やりませんでした。僕はやっぱり、これだけある改革を本気でやろうとすると、議員定数の大幅削減をこの臨時国会にやるべきだと思っています。実際に」
（Q.そこはもう譲らないということ）
「そこは譲りません。めちゃくちゃ高いハードルです。でも、それぐらいやらないと日本の改革なんかできないです」

これ以降“身を切る改革”の名のもとに定数削減は、企業・団体献金の廃止に取って代わって、連立の“絶対条件”になりました。

法案では、衆議院の定数を1割を目標に減らすことが掲げられましたが、同時に、与野党が1年協議して結論が出なかった場合、自動的に45議席削減する決まりも付けられています。この“自動削減条項”は、野党だけでなく自民党内の反発も根強く、先週に法案の提出こそしたものの、審議入りすら見通せないのが現状です。とうとう、今国会では成立困難という見方は、与党の幹部からもにじむようになりました。

自民党　小林鷹之政調会長
「数だけで押し切ろうとするのではなく、できる限り幅広い合意形成、丁寧に合意形成を図っていくことは当然必要」

連立内での温度差が浮き彫りになる中、両党の幹部は12日朝、あくまでも今国会中の成立を目指すことを改めて確認しました。

自民党　梶山弘志国対委員長
「会期の延長も可能性としては否定しないで、一緒にやっていこうという話をしました」
（Q.一部報道で『定数削減法案を今国会見送りへ』と）
「一切そういうことは決めていない。どの情報で書かれているのか、ちょっと疑問です。今の時点でああいう記事が書かれるのは、私どもは少し迷惑」

日本維新の会　遠藤敬国対委員長
「かなり梶山委員長はあの報道を見て激高されていました。誰から聞いたか分からないことを書かないでほしいと」

ただ、与党内からため息交じりの声が聞こえてくるのは事実です。

維新幹部
「数日延長したところでどうしようもない」

先送りの公算が大きくなる定数削減。両党は来週、党首会談を行う方向で調整しています。

■高市氏の本気度と党内の温度

政治部・官邸キャップの千々岩森生記者に聞きます。

（Q.臨時国会も会期末まで残り5日。議員定数削減法案は会期内の成立が難しいと思います。そもそも、高市総理はどこまでこの法案に本気ですか）

千々岩森生記者
「高市総理は本気だと思います。2カ月前に維新と電撃的に合意した、あの時は双方から『熱量が高い』という言葉が飛び交いました。一方で、時は経って2週間前の党首討論です。時間が残りわずかのところで、高市総理が立憲の野田代表に『そんなことよりも定数削減やりましょう』と呼び掛けたシーンがありました。維新との関係上、高市総理としては、いかに定数削減が重要か、合意した本人だからこそ分かっている。でも国会では遅々として進まない。なんとか各党に呼び掛けたいという焦りというか、必死さがにじんでいたと思います。ただ、自民党全体を見ると、最初から大勢は冷ややかでした。『年内と言うけど、わずか2カ月でできる訳がない』と、高市総理との温度差は明白でした。維新幹部からは『自民党の前線にいる人たちにやる気がない』という声。一方で、自民党幹部からは『維新もようやく国会の難しさが分かってきた』という声。2カ月目に入った連立にはすきま風も吹き始めています」

（Q.とはいえ、定数削減は維新にとっての“一丁目一番地”。成立のめどが立たないと、連立が壊れることに発展しませんか）

千々岩森生記者
「実はこれまでの取材の中で、維新の幹部が『自民党との成田離婚も覚悟した』と吐露する場面がありました。今でこそ、法案提出にこぎつけていますが、中身を詰める水面下の協議で自民党の本気度が見えてこないとして、連立が軋む局面もあったようです。始まったばかりの連立ですが、すでに危機感も漂っています。定数削減は、臨時国会でこのまま実現しなければ、次は来年1月の通常国会です。こちらは150日間もあるので“時間切れ”という言い訳はもう通用しないはずで、緊張感をはらんだ自民党と維新の関係は、来年も続くということなんだと思う。」
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