【制度の危機】介護サービス崩壊を防ぐには? 年々増加する保険料 大阪府民の負担額は全国最高規模 「2割負担拡大」めぐり議論も…貯蓄額を考慮する案に介護アドバイザーは「現実的ではない」【きょうの深掘り】
Автор: ABCテレビニュース
Загружено: 2025-11-28
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介護保険制度の法改正に向け議論が行われています。厚生労働大臣は先月30日、「持続可能性を維持する、あるいはサービスの質を確保するためには、高齢者にも能力に応じた負担を求めていくことも必要」として、見直しの方向性を示しました。
一方、介護サービスの“利用控え”も懸念されており、持続可能な介護保険制度について、実際に介護現場を取材したABCテレビ・生活情報班の大野聡美記者とともに“深掘り”ます。
■なぜ介護保険制度利用者の負担拡大が必要?
厚労省によると、要介護(要支援)認定者数は増加し続けており、2025年4月時点で約719万人に上ります。
介護費用も増加し続けており、制度が始まった2000年は3.6兆円でしたが、2025年には予算ベースで14.3兆円と25年で約4倍となっています。
これに対し、介護職員の数は減少しつつあります。2023年度は212.6万人と前年度比で約2.8万人減少し、初の“前年割れ”となりました。2040年に必要な介護職員は272万人と推計されており、人手不足が懸念されています。
職員不足の要因の一つと考えられているのは「低賃金」で、2024年度の賞与込みの給与を比較すると、全産業の平均が月38万6000円であるのに対し、介護職員の給与は30万3000円と約8万円も差があります。
大野記者:介護保険の加算として月2万円から3万円ほど介護職員の給与に上乗せする制度もありますが、それでもまだ8万円の差があるということになります。
■年々増加する保険料 大阪市は全国最高額
現在の介護保険の財源は税金が50%、残りの50%を第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40歳~64歳まで)の保険料でまかなっています。
第1号被保険者が全体の23%、第2号被保険者が全体の27%の保険料を収めています。
いずれも全国平均で年々増加しており、2000年に月額全国平均2075円だった第2号保険料は、2023年に6005円と3倍近く増加しています。
そして、この介護保険料は自治体によって金額が異なります。
自治体別の第1号(65歳以上)保険料を見るとトップ3はすべて大阪府内の自治体で、大阪市が全国で最も高い月額9249円。次いで、守口市が8970円、門真市が8749円となっています。
なぜ大阪が全国トップなのでしょうか。
大野記者:
大阪は低所得者数が多く、一人暮らしの高齢者の数が多いため家族にサポートしてもらえないことから、どうしても介護サービスを使う量が増えてしまうという背景があります。
■“2割負担”の対象者拡大をめぐり議論も…「限りなく90%に近づけたいのが国の方針では」
介護保険制度は現在、利用者の負担を原則1割としていますが、「一定の収入」がある人は2割または3割の負担となっています。
「一定の収入」について現行では、年金を含む所得が280万円以上(夫婦世帯の場合は346万円以上)の人は2割負担、340万円以上(夫婦世帯の場合463万円以上)の人は3割負担となっています。
また、利用者全体に占める割合はそれぞれ1割負担が91.8%、2割負担が4.6%、3割負担が3.6%で、厚労省は2割負担となる人の範囲の拡大について議論を本格化させています。
大野記者:
2割負担対象者の割合をどれぐらい拡大するかという具体的な数字はまだ出ていませんが、専門家の見立てとしては限りなく90%に近づけたいというのが、国の方針ではないかということです。
介護保険では、要介護度に応じて1カ月あたりの利用限度額がそれぞれ定められています。
利用限度額以内であれば原則1割負担で介護サービスを受けられますが、2割負担に引き上げられると金額が2倍になります。
要介護1の場合、16万7650円までは1割負担で1万6765円でしたが、2割負担になると3万3530円に。要介護5の場合、36万2170円までは1割負担で3万6217円でしたが、2割負担になると7万2434円となります。
■利用者の負担増で現場は不安
一方、介護サービスの利用者や事業者からは不安の声があがっています。
大阪・阿倍野区にある、サービス付き高齢者向け住宅「ココファン文の里」。ひとり暮らしに不安のある高齢者約70人が暮らしています。
入居して1年になる89歳の利用者に話を聞くと…
(利用者)「収入のない年金生活の我々にとっては耐えられまへんわな。中途半端に5~6年長生きしたら、その分貯金が枯れ果ててしまったらどうなるか」
一方、事業者側からはこんな心配の声も…
(学研ココファン 尾崎次郎さん)
「お風呂に関しても週3回入浴されている方が2回にしてみようかとか、お買い物のペースを1回減らすとか、そういったこともありますね」
懸念されるのは、自己負担が増えることでの“介護サービスの利用控え”です。そうなると、生活リズムが変わったり、活動量が減ったりして高齢者の健康状態に悪影響が出る可能性があるといいます。
■2割負担の対象拡大めぐり「貯蓄額も考慮」 介護アドバイザー「現実的ではない」
しかし、介護保険制度の持続性や、介護職員の待遇改善のためには“制度の見直し”は避けられません。
厚労省は、「一定の収入」ライン引き下げの判断基準について「現役世代より高い傾向にある要介護世帯を含めた高齢者世帯の貯蓄額の状況を踏まえる」という案を示しています。
つまり、収入ではなく今どれだけの貯蓄があるかということを考慮に入れても良いのではということです。
では、誰がどれぐらい資産を持っているのかを把握することはできるのでしょうか。
介護アドバイザーの横井孝治さんによると「貯蓄額を把握するには、全ての口座とマイナンバーを紐づける必要があるので難しい。仮に個人の資産を全て把握できたとしても、その時々の相場で株式や証券の価値が変わってくるので現実的ではない」ということです。
では利用者負担は一体どこまで増やすのが現実的なのでしょうか。
横井さんは「例えば介護サービスを利用できる人を70歳以上にするなど、サービスの内容を考えていかないともたない」と指摘。
また、財源については「国は原則2割負担を考えているか、もはやそのレベルではない」「大至急、赤字国債を発行してでも一時的にでも財源を確保しないと、路頭に迷う要介護者が増え、本人や家族、その仕事場などの負担が増えてしまう」という考えを示しています。
(「newsおかえり」2025年11月28日放送分より)
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