🧽アカナメ――夜になると現れる、汚れを好む神様の伝説 ～ 謎 ～

今日もあなたのもとへ、不思議で少し怖くて、でもどこか懐かしい、日本の妖怪伝説をお届けしましょう。

今夜ご紹介するのは、「アカナメ」と呼ばれる存在。名前を聞いたことがある方も、きっと少ないのではないでしょうか。でも…もしかしたら、あなたの家にも、そっと忍び寄っていたかもしれないのです。

アカナメ――それは、垢（あか）を嘗（な）めると書く、不思議な妖怪。彼の姿は、まるで子どものようでもあり、獣のようでもあり、何とも形容しがたい。長い舌を持ち、ぬるぬるとした体をしていて、夜になると古い家のお風呂場や便所、誰も掃除しなくなった暗い隅にひっそりと現れるのです。

アカナメは神ではないかと言われることもあります。
というのも、彼は人間に危害を加えるわけではありません。

ただ…汚れを食べに来るのです。つまり、掃除を怠ったその“ツケ”を、静かに、しかし確実に回収しにくる存在。

昔の日本家屋には、今のような清潔な風呂場やトイレはありませんでした。湿気がこもり、カビが生え、垢や汚れがたまっていく…そんな場所に、アカナメは現れます。

彼が出るという噂が広まったのは、そんな不衛生な場所を放置しないようにという戒めでもありました。

子どもたちにはこう言われていたのです。
「夜のお風呂場には近づいちゃいけませんよ。アカナメが舐めに来るからね。」
けれど、それは単なる脅しではありませんでした。

家を大切にし、清潔に保つこと――それこそが、アカナメを遠ざける唯一の方法だったのです。
もしかすると、アカナメは、忘れ去られた家の神、あるいは“清めの精霊”だったのかもしれません。
人の怠け心を見逃さず、そっと姿を現す。そして、静かに汚れを舐めとって去っていく。

あなたの家は、きれいに保たれていますか？　
夜、誰もいないはずの風呂場から、ぴちゃ…ぴちゃ…という音が聞こえたら――それは、アカナメがあなたのもとへやってきた合図かもしれません。

忘れられた影の住人、アカナメ。今日もどこかの町で、誰かの家の片隅に、ぬるりと現れているのかもしれませんよ…。

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