【神童】灘卒大工から、子持ちで東大理三を再受験して医者になった灘の先輩に人生のすべてを聞いてみた

少し前に井伏鱒二の「川釣り」という本を読みました。釣りにまつわるエッセイ集です。井伏鱒二といえば教科書にも載っている小説「山椒魚」や、「花に嵐のたとえもあるぞ　さよならだけが人生だ」などが有名ですね。プライベートでは釣りが大好きだったそうです。色んな話がある中に、強烈なインパクトを残した「白毛」という話がありました。
ある日井伏鱒二が釣りに出かけると、若者2人が喧嘩しているのを見かけます。若者たちは川に来たものの電車に釣り糸を忘れてしまい、2人で責任を押し付けあっていたのです。鱒二はそれを止めに入って、歳上の文学者らしくいい感じの説教を繰り広げます。しかし若者たちには「こいつ、べらべらしゃべる男だよ」と全く響きません。そればかりか、お前の白髪は釣り糸にぴったりだと羽交締めにされて白髪を35本抜かれてしまう、という話です。
あまりに身も蓋もない話で呆然としてしまいました。自分の親がそんな目に合ったら情けなくて泣いてしまいそうです。
鱒二もひどく嫌な気持ちになったでしょう。凡人ならここから何かいい感じの教訓にでも結びつけてオチをつけるかもしれません。歳をとっても無闇矢鱈に説教はしない方がいい、とかね。しかし鱒二はそんなつまらない結論には持っていきません。ありふれた教訓ではなく、さらなるしょうもない話を展開していきます。というか白髪を抜かれた件については繰り返し「腹が立った」くらいしか言ってません。素晴らしい。このエッセイの結び方は是非実際に読んでいただくとして、みっともない話をみっともないままに書き記し、僕たちに読ませてくれるわけです。
矮小なストーリーに回収することなく、事実を事実のままに曝け出すことの難しさと偉大さは歳をとるごとに実感するばかりです。せめてこの概要欄は聞き飽きた教訓ではなく、私ことチャンネル栗林の圧倒的現実でもって締めさせていただきたいと思います。34歳、最近鼻毛に白髪が混じるようになりました。

概要欄：チャンネル栗林
企画：ベテランち
カット：ふじもと🎀
字幕：森田・米沢

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