【4K】黄金に輝く極楽浄土の聖地、出羽三山最高峰に鎮座する社：山形県・月山神社 (Gassan Shrine | The highest of the three Dewa Sanzan)

▼チャプターリスト（目次）
0:00 オープニング
0:41 岩根沢三山神社（旧月山神社別当寺）
5:20 月山:岩根沢口登山道
7:06 月山八合目
7:55 御田原神社周辺
9:08 弥陀ヶ原湿原
9:36 月山登山道（九合目まで）
11:24 仏生池周辺
12:15 行者返し周辺
12:47 月山登山道（頂上まで）
14:08 月山の日の出
14:43 月山神社本宮

※月山神社本宮は条件付きで、撮影に際して問題ないことを確認した上で撮影を実施しています

どうも管理人のヒロリンです。

先週から三部作でお届けしている東北屈指の霊場、出羽三山。今回は出羽三山の主峰である標高1984mの月山頂上に鎮座する月山神社（がっさんじんじゃ）をご紹介します。

【参考】出羽神社（出羽三山神社の一つ）
   • 【4K】出羽三山、死と再生の旅の出発地：山形県・出羽神社 (Ideha Shrine...  

【参考】湯殿山神社（出羽三山神社の一つ）
   • 【4K】世界で唯一無二の信仰形態、出羽三山総奥の院：湯殿山神社 (Yudonosan...  

月山神社の創建は、前回ご紹介した羽黒山を開山した崇峻天皇の皇子である蜂子皇子が関わっています。羽黒山を開山した蜂子皇子に対して、ある夜眠っている時に、夢の中で羽黒山の神が観音様となって現れます。そして「あなたは厳しい修行を続け、多くの民を苦しみから救っています。これからも人々を導きなさい」と告げると、三本足の鳥である八咫烏（やたがらす）に姿を変えて、雪に覆われた白く輝く大きな山へ飛んでいきました。

夢から覚めた皇子は雪解けを待ち、その山の頂を目指して登り始めました。いばらをかき分けながら入っていくと、草原が広がり、更に登ると残雪と岩だらけの景色になります。

ようやく頂上に辿り着いた皇子が辺りを見渡すと、次第に周囲が金色に輝き始めました。まるで喜びに満ちた極楽浄土のような世界。すると、亡くなったすべての人をあの世へと導く阿弥陀様が目の前に現れます。「ここは夜と死後の世界をつかさどる月の神がいらっしゃるところだ」そう悟った蜂子皇子はこの山を「月山」と名付け、後にお堂を建てました。これが現在月山の頂上に鎮座する月山神社です。

月山の頂上では今でも日の出の時間で、かつ快晴の日になると辺りが金色に輝き、まるで極楽浄土のような光景が広がっているのが分かります（動画では14:08からの映像）。きっと蜂子皇子が神の存在を見出したのはこのような光景だったのかもしれないと思うと感慨深いものがありますよね。

ところで、蜂子皇子が悟った「夜と死後の世界をつかさどる月の神」とは、伊勢神宮で祀られている天照大神（あまてらすおおみかみ）の弟神である月読命（つくよみのみこと）です。太陽（昼）の神様を西に祀り、月（夜）の神様を東に祀るような構図となるため、江戸時代の時は伊勢神宮に参拝することを「西のお伊勢参り」、そして月山神社に参拝することを「東の奥参り」というようになり、昼の神様、夜の神様が祀られる神社をどちらも参拝することですべての願いが叶うというのが昔からの信仰の形として現在でも残っています。

出羽三山の主峰である月山の開山時期は毎年7月から9月中旬までの二カ月半。出羽三山の中でも最も開山期間が短い月山は、山形県のほぼ中央にそびえ立つ日本百名山のうちの一つとされる名峰。国定公園にも指定され、珍しい動植物を有することでも有名です。

戦前までは、月山の頂上までは麓から徒歩で行くしかなく、その登拝口は周辺に8つもあったとされ、かつてはそれぞれの登り口に寺院や宿坊街がありました。前回紹介した羽黒山から月山へと至る羽黒口（荒澤口）が主要な登り口で、その他に肘折口、岩根沢口、七五三掛口、大網口、大井沢口、本道寺口、川代口が存在。

中でも岩根沢口には月山神社の別当寺である旧日月寺が存在(0:41)。現在では「岩根沢三山神社」として出羽三山の摂社となっていますが、月山の登山口にあって、隆盛を極めた寺院の一つとして今でも往時を偲ぶことが出来ます。

全国各地で明治初期に発生した廃仏毀釈によって、寺院が軒並み破却されたのに対して、岩根沢三山神社は破却を免れ、仏式から神式に変更するための最低限の改修に留まりました。岩根沢三山神社の社殿は、仏堂、客殿、座敷、庫裏等を、全て一つの建物内に納めた複合建築とする点に特色があり、東北地方では最大規模の木造建築物として有名です。拝観料を払えば現在でも内部を見学でき、現代に残る月山登山口の信仰拠点の雰囲気を味わうことが出来ます。

岩根沢三山神社からは月山に至る登山口が存在し、現在でもここから月山まで徒歩で登拝することは可能です。しかし、大部分の参拝客は八合目まで車で登り、そこから約2、3時間かけて月山神社まで参拝しています。

月山の八合目、標高1400m付近には弥陀ヶ原湿原(9:08)と呼ばれる湿原が存在。晴れた空が所々にある地塘（ちとう）と呼ばれる小さな池に反射し、ゆっくりと雲が流れ、神秘的な青色に輝く光景はまさに絶景。

そんな月山八合目には素戔男尊（すさのおのみこと）の妃神である奇稲田姫神（くしなだひめのかみ）を祀る御田原神社が鎮座(7:55)。御田原神社周囲の馬蹄草が秋になると黄金色に染まる様子が秋の稲田を思わせるため、稲田や豊穣の女神とされる奇稲田姫神が祀られているのが由来。御田原神社の社殿は、20年に一度行われる月山神社本宮の式年遷宮による古材を用いて建てられており、そのため、山頂の月山神社本宮への登拝が叶わない崇敬者にとっての本宮遥拝所となっていて、月山神社本宮に参拝するのと同じ御神徳をいただけるとされています。

御田原神社を過ぎて参道となっている登山道を進み、九合目まで来ると仏生池と呼ばれる小さな池にたどり着きます(11:24)。かつて羽黒山で現世の穢れを落とした参拝者は白装束に着替えて月山に登拝し、弥陀ヶ原を超え、仏生池に着くと仏生池の水で『死に水』を取り魂になり、山頂の月山神社本宮へ参拝して山頂の神饌池で産湯を戴くことで生まれ変わることができるとされてきました。

仏生池を過ぎて更に登山道を登ると最大の難所と言われる「行者返し」の坂(12:15)。昔、月山に修行に訪れた役行者が山頂を目指し、この坂に差し掛かった際、蜂子皇子に仕える除魔童子と金剛童子が顕現され、役行者の修行の未熟さを知らしめ押し戻したことから、この坂を『行者返し』と呼ぶようになりました。現在でもここは怪我人が発生しやすい難所として知られていて、油断は禁物です。

行者返しを抜けると特徴的なピークである大峰が見え、そこを過ぎるといよいよ月山の頂上が見えてきます。

月山の頂上付近には独特の石鳥居があり、その鳥居をくぐった先に月山神社の社殿が存在します。戦前は、伊勢神宮に次いで最も高い社格とされていた旧官幣大社に東北で唯一列格されていた月山神社。しかし、社殿は小さな祠です。石垣に囲まれた小さな祠。ただそれだけではなく御神殿になっている、それを昔は御室（おむろ）と呼んでいました。ここは特別な世界だということが「御室」という言葉に現れているのです。

苦労して登り詰めた先にある神域にたどり着いた瞬間、これまで自分を育ててくれたすべてのものに感謝し、神前の前で自然と手を合わせたくなる。月山神社の参拝はこれまでの自分を見つめ直す旅でもあると思います。この動画を見て疑似参拝をしたとしても真の感動は味わえません。月山神社に興味が湧きましたら是非参拝してみてください。

前回紹介した出羽神社、そして今回紹介した月山神社に参拝した後は、出羽三山の奥の院と呼ばれる湯殿山神社へ。湯殿山神社の様子は次回の動画に預けるとし、まずは月山神社の様子をこの動画でご堪能いただけると幸甚です。

I have visited about 1000 shrines so far, and my favorite one among them is Dewa Sanzan in Yamagata Prefecture.

The Three Mountains of Dewa refer to the three sacred mountains of Mount Haguro, Mount Gassan and Mount Yudono, which are clustered together in the ancient province of Dewa (modern-day Yamagata Prefecture). Holy to the Japanese Shinto religion and especially the mountain ascetic cult of Shugendo, Dewa Sanzan are a popular pilgrimage site visited by many, including famed haiku poet Matsuo Bashō.

Folk religion has continued throughout the ages to be a standard part of the daily lives of the Japanese people, particularly the aspect of the association between religious beliefs and practices with sacred mountains. This practice of mountain worship holds a significant place in Japanese beliefs and had become widespread throughout Japan’s history. It has been observed that nearly every high mountain top has had its own dedicated shrine at one point, with some receiving pilgrimages every year from thousands of worshippers. This collection of diverse phenomena linking religious activities and beliefs with sacred mountains is referred to as sangaku shinkō.

Revered since time immemorial, the awe-inspiring 1,984m Mt. Gassan is known as a mountain that represents the past and where the ancestors rest. Gassan is synonymous with paradise, and Midagahara at the eighth station, in particular, makes for a mystical scene with its wetland full of blooming alpine plants.