カサンドラ症候群［臨床］アスペルガー症候群の家族におきること

カサンドラ症候群について精神科医が解説した精神医学のWeb講義。

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アスペルカー症候群､すなわち自閉スペクトラム症で､知的な能力が普通の人がいたとき､その人と結婚した妻や夫が調子を崩すのがカサンドラ症候群と呼ばれています。自閉スペクトラム症そのものは男性に多いので､ここでは典型例の｢自閉スペクトラム症の夫をもつ妻｣として話しましょう。自閉スペクトラム症だと情緒的な交流が困難な傾向にあり、夫婦という感情的な交流がより求められる場面だと､その情緒的な交流の困難がより問題になりえるもの｡そんな自閉スペクトラム症の夫を持つ妻は、共感などを求めても思ったように共感を得られないなどしてストレスをためるもの｡社会的には普通に､あるいは立派に過ごしている自閉スペクトラム症の夫のことを愚痴っても周りには｢考えすぎよ」などと言われて終わってしまうもの｡これは純粋に医学的な用語かというと微妙な領域｡医学的には先ほどいったように｢うつ病｣｢不安障害」｢適応障害｣｢心身症｣などと､出てきた症状について診断が行われ､それが生じた状況について｢カサンドラ症候群｣と理解すると脈に落ちる､と思えることもあるもの……一般的な臨床では扱われない言葉です｡おそらく､妻の気持ちをきちんと理解しようとしない夫に悩む女性たちが｢ああ､私はカサンドラ症候群なんだ」と思うことで、自分の中に起きていることを理解し､心の整理をつけることに役立つがゆえに､医療の場よりも一般の場で広まってる用語なのでしょう。自閉スペクトラム症の人が周囲にいることでストレスをためること全般について､職場にアスペルガー症候群の人がいる職場のストレスなどにつきカサンドラ症候群といわれていることもあるようです。カサンドラ症候群のための薬なんてものはありません。自閉スペクトラム症である夫に､妻に対する対応について教育しなければいけないかもしれません｡カサンドラ症候群である本人に、自閉スペクトラム症の家族に対する対応について工夫を伝えたり、そもそも家族に何をどこまで期待するかを整理したりする必要があるかもしれません。
カサンドラを紹介しておきましょう｡カサンドラはギリシヤ神話に出てくる人で､トロイの王女です。あのトロイの木馬のトロイです｡