“沼る”ミュージカル『フランケンシュタイン』中川晃教&加藤和樹ペア、小林亮太&島太星ペアのゲネプロをレポート
Автор: Yahoo News Japan
Загружено: 12 апр. 2025 г.
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“沼る”ミュージカル『フランケンシュタイン』中川晃教&加藤和樹ペア、小林亮太&島太星ペアのゲネプロをレポートミュージカル『フランケンシュタイン』が4月10日、東京・東京建物 Brillia HALLで開幕した。有名なフランケンシュタインの物語に大胆な解釈を施し、韓国で2014年に初演された、韓国ミュージカル界を代表するヒット作。日本では2017年に初演、2020年の再演を経て今回が5年ぶり3度目の上演となる。メイン2役がダブルキャストになっているが、ビクター・フランケンシュタイン/ジャックは初演から同役を演じている中川晃教と今回初参加の小林亮太、アンリ・デュプレ/怪物も初演から3度目の出演となる加藤和樹と初参加の島太星。中川晃教×加藤和樹のベテランペア、小林亮太×島太星の新星ペアの2バージョンのゲネプロを取材した。
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物語は19世紀ヨーロッパが舞台。死んだ人間を蘇らせる研究をしているビクター・フランケンシュタインは、戦場でのいざこざで殺されそうになったアンリ・デュプレを助け、自分の助手にする。最初は神の領域に挑むビクターの研究に反発していたアンリだが、ビクターのゆるぎない信念に惹かれ、二人は固い友情で結ばれていく。だが戦争後、故郷で研究を続けるビクターは殺人事件にまきこまれ、そのビクターを救うためにアンリは死刑になってしまう。
ビクターはアンリを生き返らせようとアンリの脳を使い、研究の成果を注ぎ込むが、誕生したのはアンリの記憶を失った怪物だった。そして怪物は自らを作り出し、消そうとした創造主・ビクターに復讐を誓う……。ビクターの視点で描かれるメインストーリーとともに、2幕では怪物が自我を育てていくまでのドラマを、メインキャスト全員が1幕とは別の役を演じて描いていくというトリッキーな作劇も面白い作品だ。
メアリー・シェリーが200年前に書いた原作の持つスリラー性、人間のエゴや生命の原理に対する問いかけなどはそのままに、ビクターとアンリという男二人の友情からはじまる激しく悲しい愛憎物語として生まれ変わらせたこのミュージカルは、それゆえにビクターとアンリを演じる俳優の個性と解釈により、まったく違った色合いになる。
中川ビクター&加藤アンリは、3度目という経験を武器に、しかしこれまで以上に愛も憎しみも悲しみも強い、圧倒的な深みのあるコンビだ。中川は、狂気をはらみながら自ら孤独へ突き進んでいくようなビクターであると同時に、この人らしく難曲揃いの美しい楽曲たちの魅力を余すことなく伝えていく。炎のような激情を叩きつける『偉大な生命創造の歴史が始まる』、悲しみも胸をえぐる後悔も音楽に乗せた透徹な『後悔』は特に圧巻だった。
加藤の優しさに溢れるどこまでも温かいアンリ、指先からつま先まで完璧にコントロールしているかのような身体表現で造形する怪物も圧巻。作品ファンを公言している加藤の、全身から立ち昇る気合いと迫力にも圧倒される。日本版『フランケンシュタイン』の一つの到達点と言えそうな完璧なパフォーマンスを見せてくれたペアだった。
一方の、小林ビクター&島アンリ。小林は子役時代から近年では舞台『鬼滅の刃』主演まで経験豊富、島はバラエティからアーティスト活動まで幅広く活躍しているとはいえ、ともにまだ20代で、この大作ミュージカルの主役としては大抜擢と言える。しかし二人とも期待を超えるパフォーマンスを見せていたことに、まずは素直に拍手を贈りたい。もともとしっかりとした芝居を構築する俳優である小林は、孤独を強く感じさせる、弱さもあるビクターを丁寧に造形し、観るものを物語にグッと引き込んだ。
島は包容力にあふれた、意外なほど大人のアンリだ。怪物も、“生物”の本能を剥きだしにしていた加藤に対し、島は孤高性が伝わる“異形”のものという印象が先に来て新鮮。歌唱面においても二人とも持っている声質が太く、中川・加藤とは違う味わいがある。特に低音に二人の魅力が出ていたように思う。“ニューフェイスのフレッシュさ”だけではない、物語の深みを体現する熱演で、衝撃の作品デビューを果たした。
興味深かったのは、ベテランである中川&加藤ペアの方が子どもらしく、若者コンビである小林&島ペアの方が大人っぽい印象を受けたこと。中川ビクターと加藤アンリは周囲の煩わしい視線などは些事として捉えているような、ある種わがままに自分の思いを追求する純粋さを掘り下げ、小林ビクターと島アンリからは「窮屈でもこの人間社会の中で生きざるを得ない」といった社会対個人を感じさせるリアリティある造形が、そう感じさせたのかもしれない。
ほか、ビクターの婚約者ジュリアを演じる花乃まりあは、優しくたおやかでありながらしなやかな強さも感じさせる好演。“生きる”ということにしがみつく2幕のカトリーヌの生々しさも良い。
ビクターの執事ルンゲと闘技場の召使いイゴールを演じるのは初演から続投する鈴木壮麻。ユーモアと温もりで、このダークな物語にひと匙の息抜きを入れる。松村雄基はビクターの叔父ステファンと守銭奴フェルナンドを演じるが、名士然としながら人間の醜さが伝わってくるステファン、下品でありながら策士の顔も見えるフェルナンド、両方ともインパクト大。
朝夏まなとはビクターの姉エレンを優しさだけでない弱さも掬い上げながら演じると同時に、2幕の闘技場の女主人エヴァ役では弾けた演技と、ショースターらしいカッコ良さで魅了する。全員がゴシックな装いの1幕、アンダーグラウンドなエネルギーを発する2幕を演じ分けるのも見どころだが、二つの役が鏡映しのような構造になっているところも、本作の面白さである。
中川&加藤ペア、小林&島ペアとも、愛にも似た友情から絶望へ堕ちていく復讐譚を「この相手だからこそ」とのめりこむような関係性で描き、“魂のコンビ”“二人で一つ”感が濃厚に浮き上がったが、だからこそ中川&島ペア、小林&加藤ペアがどうなるのかも気になって仕方ない。近年の大型ミュージカルはダブルキャスト、トリプルキャストが主流となっているが、ここまで「別の組み合わせだとどうなるのか」と思わせる作品も珍しい。8年の経験と信頼関係を積み上げてきた中川&加藤の自信と飽くなき挑戦が至った豊かな造形に唸らされると同時に、日本でこの『フランケンシュタイン』人気を牽引した彼らの力を改めて感じた一方で、キャリアも経験も異なる圧倒的な初演コンビがいる中に飛び込み、おそらく壮絶な努力を重ね役を作り上げたであろう小林&島の俳優としてのひたむきな挑戦もまた、中川&加藤をはじめ作品自体に良い影響を与えたに違いない。ダブルキャストの相乗効果が、三度目となる『フランケンシュタイン』という作品を新たに輝かせている。もともとディープな世界観に“沼る”ミュージカルとの呼び声の高い『フランケンシュタイン』だが、2025年版もその沼にハマる人が続出しそうだ。
東京公演は4月30日(水)まで同劇場にて。その後愛知、茨城、兵庫でも上演される。
取材・文・撮影:平野祥恵
<公演情報>
ミュージカル『フランケンシュタイン』
音楽:ブランドン・リー
脚本/歌詞:ワン・ヨンボム
潤色/演出:板垣恭一
訳詞:森雪之丞
音楽監督:島健
振付:黒田育世/当銀大輔
出演:
中川晃教/小林亮太(Wキャスト)
加藤和樹/島太星(Wキャスト)
花乃まりあ 鈴木壮麻 松村雄基 朝夏まなと 他
【東京公演】
日程:2025年4月10日(木)~4月30日(水)
会場:東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
【愛知公演】
日程:2025年5月5日(月・祝)・6日(火・休)
会場:愛知県芸術劇場 大ホール
【茨城公演】
日程:2025年5月10日(土)・11日(日)
会場:水戸市民会館グロービスホール
【兵庫公演】
日程:2025年5月17日(土)~5月21日(水)
会場:神戸国際会館こくさいホール

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