多機能検測車「BIG EYE」内部をメディア初公開 JR九州のDX 効率化で鉄道の未来を模索 特集【キャッチ】
Автор: FBS福岡放送ニュース
Загружено: 2025-11-30
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特集「キャッチ」です。少子高齢化で担い手不足が問題となる中、課題解決の一助とされているのがデジタルトランスフォーメーション、業務のDX化です。私たちの生活の足を支えるJR九州でもDX化を推進していますが、乗り越えなければならない課題もあります。
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通勤や通学など、私たちの生活の足を支える鉄道。日々の安全な運行は、多くの人によって支えられています。
■JR九州・古宮洋二 社長
「同じことをやっていたら鉄道は潰れます。何かしないと鉄道の将来は全然成り立ちません。」
この危機感の背景にあるのが、2025年問題と言われる少子高齢化に伴う人材不足です。
JR九州では経営の柱の一つとして、デジタル技術の活用・DX化を強く推し進めています。乗客の命を預かる公共交通機関の最新技術とは。
福岡市博多区のJR九州本社でデスクに向かう人たち。こちらの男性が取り組んでいたのは。
■JR九州 デジタル変革推進部・犬丸諒一さん
「今、育児休暇アプリというものを作成していまして、ローコードツール、マイクロソフトが提供しているパワープラットフォームを使っています。」
専門的な知識がない人でもアプリ開発ができるローコードツールを使い、社員自らがアプリを開発しています。
■犬丸さん
「現場でどのような課題があるかは自分自身が分かっていることなので、自分の職場の業務課題に関してアプリで改善していっている状況です。」
運用を開始した2021年以降、製作されたアプリの数は1035です。備品を管理するためのものや、職場の共用冷蔵庫を管理するためのものなど、部署の垣根なく全社で共有されています。
■犬丸さん
「JR九州全体で、年間10万時間くらいの(勤務時間)削減をしている状況になります。」
DX化により業務の効率化が進む中、線路の保守・点検などを行う工務部門で、教育や採用などを担当する責任者は。
■JR九州 工務部企画課・黒木悠輔 副課長
「いわゆる働き手が減ってくる中で、我々が維持管理する構造物の数は変わらない一方で、いかに少ない人数で安全を担保しつつ、効率的に鉄道構造物を維持していくかが大きな課題だと思っています。」
公共交通の根幹でもある安全確保のための設備の維持・管理は、今も人の目による検査が主体となっています。しかし、JR九州は採用計画は順調とする一方、コロナ禍を経て志願者数は減少しているといいます。
迫り来る担い手不足の問題。そうした中で去年、運用を開始したのが、赤い車体に青い波形が描かれた車両、多機能検測車「BIG EYE(ビッグアイ)」です。
その名の通り、愛らしい大きな目がデザインされた「BIG EYE」。あのドクターイエローのように、線路や架線などに異常がないかを走行しながら確認することができます。
その秘密が、車両の正面に搭載された「まつ毛」のようなものをはじめとした10台のセンサーです。さらに。
■JR九州 工務部保線課・高原恵男 課長代理
「灰色の箱があると思います。あちらの装置からレールに向かってレーザーを照射して、レールのゆがみを計算しながら管理しています。」
どのような仕組みになっているのか、メディア初公開の車内へ。
もともとJR肥薩線の車両だった「BIG EYE」は、2020年の豪雨で被災し検測車として生まれ変わりました。車内には、生活の足として活躍していた面影もあります。
■高原 課長代理
「こちらが、前の方についていた10台のレーザーセンサーを表示している画面です。人がここの場所にいて動いていることを表しています。こちらが線路のゆがみを測る機械の出力結果で、走っている最中も、もし異常値があればこちらにアラートが出るような仕組みです。」
アラートはリアルタイムで送信されるため、いち早く対応することができます。
「BIG EYE」で検測されたデータは指令センターに自動で送信され、事務所で確認することができます。
■JR九州 博多保線区 南福岡管理室・下田遼平 室長
「導入当初は負担はありました。やっぱり慣れるというところで。事前に気づくことによって、余裕を持って補修することができるので、負担軽減につながっていると思います。」
さらに検査業務の効率化には、もう1つの目「RED EYE(レッドアイ)」も活用されています。
係員が行う検査業務の代役を、正面に取り付けられた2つのカメラと屋根の上のカメラが果たし、事務所で確認・判断することができます。
そんな「RED EYE」、実は通常の車両として運行しています。
■車掌
「7番乗り場から普通列車、二日市行き発車します。お近くのドアからご乗車ください。」
効率化と省力化を図りながら、安全性の向上に貢献しています。
業務効率化のツールは、ほかにもあります。もともと平面図を使っていた駅施設の管理では、3Dスキャナーを活用しています。視覚的に分かりやすくなったほか、現地に行かなくてもデータ上で距離を計測できるなど効率化を図っています。
現在、JR九州の駅の3分の2でデータの置き換えが完了していて、あと2年ほどで全て置き換える計画です。
目に見えた成果が出ている一方で、工務部門のDX推進の責任者は課題を口にします。
■JR九州 工務部DX・真井哲生 副課長
「たくさんのデータが今あるのですが、その全てを生かし切れていない部分がたくさんあるのかなと思います。」
「BIG EYE」などの導入で、業務の効率化だけでなく検査の質も向上しています。
さらに「BIG EYE」では研究用にデータを得ようと計測器を設置しました。そして「RED EYE」では、ほかの車両でも運用可能となる、可搬型の「Smart RED EYE」の開発が進められています。
日々進化する技術により得られるデータを使い、目指すのは「未来予測」です。
■真井 副課長
「AIと組み合わせるというところですかね。今、検討中ではあるのですが、その技術とデータをうまく組み合わせることで、未来がどうなるかを見つけていきたい。」
安全の担保が求められる公共交通機関で進む、アナログからデジタルへの移行。人の目が不可欠な現場では、効率化や省力化との両立に向けて日々、模索が続いています。
※FBS福岡放送めんたいワイド2025年11月26日午後5時すぎ放送
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