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「HSP」の診断と治療【精神科医が解説】

Автор: 精神科医がこころの病気を解説するCh

Загружено: 2023-01-24

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「HSP」の診断と治療【精神科医が解説】

00:00 OP
04:02 HSPとは何か
15:10 HSPビジネスの悪
22:31 抵抗するのは?
24:48 僕らはどうしたらいい?

本日は「HSPの診断・治療」というテーマでお話しします。

ここでビクッと眉毛が動いた方は正しいです。
「HSP」というのは医学用語ではないので、「HSPの診断」とか「HSPの治療」というのは意味をなさないというか、ひっかけなんです、これは。

これを言う医者っているんですね。
医者というか、クリニックとかカウンセラーがいるのですが、ちょっとこれは問題ありなんです。
その話をしようと思います。
それが「HSPの悪」というやつです。

ただ、HSPはすごく難しい概念だなと思います。
『HSPブームの功罪を問う』という飯村周平さんの本を参考にしながら、僕も持論を述べたいと思っているのですが、やはり広く知れ渡っていて、色々な意味や差別、偏見を生んでしまった言葉になってしまったなというのが正直なところです。

HSPというのは医学用語じゃないんです。
医学用語じゃないのに、さも医学用語のように、さも新しい病気のように、新しく見つかった病気のようにマスコミやHSPビジネスの人たちが流布してしまったんです。

その結果、「自分はHSPなんだ」と思ったり、「苦しみから解放されるんじゃないか」と思った方もいるのですが、餌食になってしまったというところがあります。

また「自分は繊細なんだよ、だから気を遣ってくれ」みたいな形で言っちゃう人たちもいたんです。
それはHSPビジネスが生んでしまった負の側面でもあるんだけれども、そうやって主張することが正しいんだと思ってしまった人たちもいるわけです。

そうすると、それにムッと思った人たちが「いやいや、そもそも益田だってHSPって医学用語じゃないって言ってるぞ。じゃあコイツただの構ってちゃんではないか? ただ甘えてるだけじゃないか?」という形で同情しかけたのが逆襲されて、より嫌われちゃうみたいな現象も起きてしまっているということなんです。

「自分は困ってるんです。感受性が強いんです」と言っても、医者からも看護師さんからも「いや、そんなことないんだから」と言って突っぱねられちゃうんです。
「HSPなんかないんだから」と突っぱねられちゃったりします。

すごく傷ついて、ではどうしたらいいのといっても助けてくれるところはないから、やはりHSPビジネスの方に行ってしまう。
まるでカルト宗教のように悪い循環も生まれている、というところもあるんじゃないかなと思います。

批判するのではなくて、どうやってそこの誤解を解いていくのか、どうやって治療していくのがいいのか、ということをこの動画では取り上げていこうと思います。

正しい知識をまず身につけてもらうということです。
なぜHSPのブームが悪かったのか、悪いビジネスを生んでしまったのか、というのも軽く触れようと思います。
その後、HSPを手放せず苦しんでいる人たちの気持ちをちょっと解説します。
最後に、じゃあ僕らはどうしたらいいのか、ということをお話しします。

講義スタイルとしてホワイトボードを書きながら説明します。

■HSPとは何か

まず、「HSP」とは何かというと、「感覚処理感受性」と呼ばれる心理概念がベースになっています。

生まれつきと言っていいのかどうかわからないですが、感覚が過敏な人がいるということです。
「感覚処理感受性」というんですが、これは存在するんです。
わかりますよね? 鈍感な人がいれば鈍感じゃない人もいる。
すごく環境の刺激に影響されやすい人もいれば、されにくい人もいる。
それは僕らの実体験としてわかってます。
実体験としてもわかっているし、心理学としても確認されている概念なんです。

だいたい正規分布を取ると言われています。
難しいですね、正規分布というと。
ちょっとわかりにくいんですけれども、縦軸が人数です。
横軸の中央が平均だとすると、平均的な感受性を持っている人たちは一番多いよ、と。

身長や学校のテストみたいなものです。
真ん中の方に人が集まっていて、端っこになると少ない。
平均的な身長の人が多いけれども、背がすごく高い人、背がすごく低い人は少ない。
成績が普通の人が多くて、点数が高い人、点数が低い人というのも少ない。
これが正規分布と呼ばれるものです。

感受性も同様に、鈍い人もいれば高い人もいるということです。
これがわかっています。

これは精神医学の概念でもよくあるんですけれども、ある特徴において際立ったもの、先にいる上位1%は障害になりやすいというものがあるんです。

きれい好きの人も適切な量だったら「しっかりしてるな」「きれい好きなのね」と言われるけど、これが学校一のきれい好きだと「あいつ大丈夫か」と言われそうだし、町一番のきれい好きと言うと、ちょっと病院行ったほうがいいんじゃないと言われそうです。

何かの特徴というのは、1%くらいになってくると病気として処理されてしまう、障害として認定されやすいというのがあります。
それは人間というのが群社会で生きる動物なので、群の中で適応しにくかったりするんです。

その中間のものはグレーゾーンと呼ばれたり、境界型知能、境界型と呼ばれたりします。
こういう概念をちょっと知ってもらえたらなと思います。

感受性がすごく高い人も鈍い人もいて、先の方の人たちは苦しそうだよね、息苦しそうだよね、みたいな感じは、皆さんもわかるんじゃないかなと思います。

じゃあ精神医学ではこういう人たちをどういう病名で呼ぶのか、ということになります。
HSPと言わないのだったら何か別の病名があるんでしょうと思われそうですが、精神医学だとちょっと違う分け方になるんです。

感覚が過敏なのは何か別の原因があって、そこに基づいて分類してたりします。
つまり、うつとか不安です。
うつ病や不安なとき、不安障害とか呼ばれるものはやはり敏感になっていたりしますから、ビクビクしてますから、こういうのは感覚過敏になった状態です。

あとは代表的なものだと社交不安障害、回避性パーソナリティ障害と呼ばれるものが、いわゆる「繊細さん」と呼ばれる人たちかなと思います。
他人と一緒にいることに緊張する、失敗することを過度に恐れる、人前に立つことが苦手、こういうパターンが多いかなと思います。

あとは感覚が過敏ということで、発達障害(ASD/ADHD)もあるなと思います。

臨床上は感覚処理感受性障害とか言うのでなくて、このどれかに当てはまる、もうちょっと細かく見ていくということをしていくという感じです。

これはちょっとわかりにくいと思うんですけれども、感覚処理感受性というのは心理学的な概念なんです。
病名は精神医学的な概念なので住んでいる世界が違うんです。
これは英語と日本語の差とも似ているんです。

例えば、英語で言う「wear(着る)」というのは日本語だと「着る」と言ったり、ズボンを「履く」、帽子を「かぶる」という言葉に変わるんです。
英語だと「wear」で一言で済むのが、日本語だと細かく見るんです。

逆に日本だと「牛」と呼ばれるものが「牛」「牛肉」と呼ばれるだけのものが、アメリカだと「cow」「beef」「bull」と呼ばれたりします。

ある文化圏においては、それをより細かく見るのであれば、言葉の数が増えるんです。
でも大雑把に見ていると、一つの言葉でまとまってしまう。

精神科医は感覚処理感受性が高い可能性がある人たちを、もっと細かく見てるんです。
細かく見て、分類して診断を下しているんだけれども、HSPというのは大体人口の1/5いるよと言ったりして大雑把にくくって、自称HSPを増やしているというか、広く捉えてるんです。
広く捉えることでビジネスにつなげてるという悪さというのがあります。

わかりますかね?
外来であんまり説明する感じの話じゃないので、ちょっとうまく説明できている気がしないですけれども。

もう一回戻ると、まず心理学の概念として感覚が過敏な人たちがいるよね、じゃあどういう人たちなんだろうね、という研究はされているし、それは実験上明らかです。

精神医学の世界においてもそういう人たちの存在は知られている。
だけど、心理学的概念だけで押えるのでなくて、他の要素も組み合わせて、うつ病、不安障害、社交不安障害や回避性障害、発達障害という形で細かく分けて見ているよ、それは牛と日本語で呼ぶのと、英語でcow、bull、beefと呼ぶのと似てます。

住む世界が違うと使う言葉も違う。
概念も重なるところがあるけれども、微妙にズレたりしますよ、ということです。

で、HSPについては、ビジネスとして広く捉えるために割と大雑把に誰でも当てはまる、1/5ぐらいの人が当てはまるように、上手く概念を作り変えられてるというところがあるというのがあります。

これは生まれつきの概念なんですか?という話なんですけど、生まれつきの概念なのか、それとも環境の要素が関係してるんですか?という風になります。

HSPというと、さも生まれつきだけの問題として捉えられやすいんですけれども、実際は遺伝と環境の要素で決まります。人間の性格や感性というのは。
それは精神疾患もそうですが、HSPなどの問題についても一緒です、生まれと育ち。
僕らの世界は、常に生まれと育ちの要素、2つの要素で自分たちの心というのが決まっています。

HSPというのは、もう一回言うと、まず精神医学の概念じゃなくて、ここに入るようなうつ病、社交不安障害、ASD、ADHD、さらにHSPと入るような概念ではなくて、この感覚処理感受性から発展した全く別の概念だということです。

そしてそれは、ビジネスとして繋がるために他の要素も加わってしまっているということになります。
マスコミ受けがしやすいように、テレビで取り上げられやすいように、ちょこちょこ改造されているというのがあります。

概要欄続きはこちら
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