いつもの秋はいつかの秋に（概要欄にSSあります）

#音楽生成ai #秋 #jpop #オリジナル曲

わたしの親友はとても綺麗だ　おとなしくしていれば
ああ、ほら、言ってる傍から、通学路でいきなり踊りはじめるな
いやほんとに綺麗だと思う
いわゆる「美人！」という感じではないのだけど
素朴で親しみやすいのに時折見せる表情にドキッとさせられ…
こら、踊るなって　そのまま落ち葉をキャッチするんじゃない

…夏の蝉キャッチチャレンジよりましか…
毎年やるんすよ、あの子
おとなしくしてれば綺麗なんですけどね、ハハ…

ひゅぅっとふいに風が吹く
あの子が風に舞う落ち葉を目で追いかけて空を見上げた
おもむろに空に手を伸ばす

私もつられて空を見やる

紅葉と青い空が
そして、白い雲が遠く遠く流れていく
秋の空だ

「今日、元気ないね。変なの。」
ふいに隣のあの子が話しかけてくる
視線をあの子の方に戻す
…いや、そこは「どうしたの」とかだろ
「変なの」はそれこそ変だろ…

ひゅぅっと、また風が吹いた
私たちの間を通り抜けたそれは、
すこし涼しかった

まぁね、元気がないのはほんと

夏休みも、今は昔
すっかり秋だ
まだちょっと暑い日もあるけど
今年も、もうそんなに長くない
年が明けたらすぐに受験で、卒業でと
こんなに平和にいっしょに帰れるのなんて
あとどれくらいなんだろう

残りの日を指折り数えようとする
さすがにまだ指が全然足りないけど
いつかは片手で数えられるようになってしまうのだ

君がいない日常。

空と落葉を眺める君に見惚れながら
そんないつかをぼんやりと想う

「あぴゃぴゃぴゃ」
急に奇声を上げて
あの子が頭に乗った落ち葉を取る
さんざんキャッチとかしていたのに
頭に乗るのは嫌だったらしい
なぜ？

長い付き合いだというのに
いまだによくわからないけど
とにかく慌てた表情が面白くって
思わず笑ってしまった

胸の奥がじんわりとした

「ねぇ、いつまでこうしていられるんだろうね」
唐突に、君と目があう
君が視線をそらして俯く
…あぁ、綺麗だな…
二人の間を通りぬけた風が、涼しかった

さっきまでの青空はもう茜色に染まり
帰り道が別れる交差点にたどり着く

「しゅたたたっ」と口に出しながら
あの子が横断歩道を渡り、振り返る
「じゃーねー。また明日ねっ。」
そういって大きく手を振り
あの子が走っていく
いつもどおりの元気な声
でも、しょんぼりとしていたのがはっきりとわかった
「変なの。」思わず口に出してしまった。

秋の日はつるべ落とし
すぐに夜になる
そして、次の日の朝
いつもの待ち合わせ場所で君を見つける

「おはよう！」
今日は私が大きく手を振って君のところへ
いつか別れるとしても
せめて今日があたたかいものになってほしい
昨日よりちょっと君の近くに
風が通る隙間なんてないくらいに

秋の道を君と歩く
お別れまでの日を指折り数えようとする
いつか片手で数えられるようになったら
空いた手で君の手を掴んでみようか
そのとき、君は、どんな表情をするだろうか