航空母艦 赤城（あかぎ）大日本帝国海軍 第一航空艦隊　空母赤城　南雲機動部隊 旗艦　南雲長官　第一機動部隊　南雲忠一 中将

近代航空黎明期の画期的な第一航空艦隊は未だ試行錯誤の途上にあって護衛艦隊を作戦毎に他の艦隊から融通して借り入れていた。未だ機動部隊が制式艦隊として建制化されておらず、精鋭を寄せ集めた臨時の編成であった事から部隊としての体裁が中途半端で、思想統一や訓練に関して齟齬が生じがちだった。
赤城艦橋の士官らは苦悩し、南雲長官は中央執行部に対し機動部隊の艦隊建制化を強く求めていた。軍令部および連合艦隊はその必要性を認めつつも議論の途上であった事から、実際に機動部隊が建制化されたのはミッドウェー海戦大敗後の第三航空艦隊からとなったのである。
一方、米国は徹底的に学んだ。この世界初の画期的な機動部隊の集中運用による航空打撃戦術は米国にお株を奪われ、以降は技術・物量の両面において当初の航空優勢を覆される事になるのだった。

連戦連勝だった第一段階作戦が1942年半ばに完了した。日本に帰還した第一航空艦隊に対し、連合艦隊司令部が先行・独断で立案したミッドウェー作戦が伝えられた。キチガイ参謀の無謀に接し、赤城艦橋の第一航空艦隊首脳および第二艦隊司令官近藤信竹は以下を要請。

□連戦続きだった艦隊の休養と軍艦の補修
□艦隊および航空搭乗員の人事異動に伴う訓練期間の確保
□第五航空戦隊の戦力回復（翔鶴・瑞鶴を編入して空母６隻による集中運用を企図すべし）

東京空襲（ドーリットル空襲）に焦った山本五十六は、前線指揮官からの要請を尽く却下。

空母「翔鶴」「瑞鶴」を擁する第五航空艦隊が一時的に南洋艦隊に引き抜かれ、先の5月の珊瑚海海戦で翔鶴が大破し、スコールに隠れて難を逃れた瑞鶴も多数の航空機と熟練搭乗員を失っていた。第五航空艦隊の戦力回復を連合艦隊司令部が待たなかった為、翔鶴・瑞鶴が南雲司令長官の指揮下に戻される事はなく、空母６隻による集中運用を予定していたミッドウェー作戦には不参加となった。勝ちを急ぎ過ぎた連合艦隊。ミッドウェー海戦は然るべく敗北を喫したのだった。

□昼間の着艦も危ういレベルの未熟なパイロットによる航空実装
□休養と訓練の不足により経験者の一部にも練度と士気の低下が生じていた事
□連戦連勝による奢りと疲労が部隊全体に蔓延していた事
□事前に部隊間の合同訓練が実施できなかった事
□編隊の爆撃訓練も実施できなかった事
□思い込みによる敵情勢の判断
□爆装・雷装転換の瑕疵
□索敵の不備

赤城艦橋の南雲と幕僚らは、インド洋作戦で入念に放った索敵機が自機の位置を失った際に（索敵機の回収に必要な）電波を発した事で艦隊位置を敵に暴露した経験に苛まれていた。以降、赤城艦橋の士官らは偵察に必要以上の兵力を割く事をためらう様になっていた。

やたら生真面目な南雲の性格が、増長した航空参謀の意見をひたすらに重んじた。南雲は、ミッドウェー海戦の初頭、我が艦隊に押し寄せる度に各個撃破されていた敵航空機の散発的な頻度に接し「あれは（明らかに）敵空母から飛んできたのではないかね？」と疑問を呈していた。何度も意見を求められた航空参謀は「否、ミッドウェー島からに違いない」といって譲らず、初動対応を取り繕う嘘をついて憚らなかった。おそらく練度を極めていた護衛戦闘機が逐次いくらでも跳ね返せると踏んでいたのだろう。
そんな折、敵雷撃隊を完璧にまで殲滅した制空隊の零戦が海面付近に高度を下げていた一瞬の隙を突く形で、敵の急降下爆撃隊が我が艦隊輪形陣の直上に飛び込んできたのだった…。

と我が家の祖父が申しておりました。