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【第41回】為替市場も注目!参院選後のドル円相場展望

Автор: 内田稔教授のマーケットトーク

Загружено: 2025-07-18

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解説 内田稔教授
1993年、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、一貫して市場部門に在籍。 2011年より外国為替のチーフアナリストとしてハウスビュー策定を統括。金融専門誌J-Moneyの東京外国為替市場調査アナリスト個人ランキングにて 2013年から2021年まで9年連続第1位。2022年4月より高千穂大学教員に転職。テレビ東京ニュースモーニングサテライトへの定期出演、ロイターコラム投稿などメディアでの情報発信も継続中。

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円安の主な要因は何ですか?
現在の円安の主な要因は、主に以下の2点です。

実質金利のマイナス: 日本の政策金利が中立金利(景気と物価を加熱も冷ましもしない適正な金利水準)よりも低く抑えられており、これにより金融政策に起因するインフレ圧力が継続しています。インフレ率から金利を差し引いた実質金利がマイナスの状態が続くことで、円は弱くなる傾向にあります。
アメリカのドル高: アメリカの利下げ観測の後退や、「タームプレミアム」の上昇(悪い金利上昇の側面も持つが、ドル高につながる)により、ドルが他の通貨に対して全般的に上昇しています。特に米国の消費者物価指数の上昇がドル高を後押ししました。
これら2つの要因が組み合わさることで、ドル円相場はドル高円安の方向に進みやすくなっています。

最近のFRB議長解任に関する報道の背景と、その可能性はどのくらいですか?
FRB議長解任の報道は、トランプ政権がFRB本部ビルの建て替え費用が当初予算を大幅に上回っていることを「不正行為」と見なし、パウエル議長の解任を検討しているというものです。

しかし、FRB議長の解任には「職務の非」「職務の怠慢」「職務上の不正行為」といった正当な理由が必要です。たとえ大統領が解任を表明しても、パウエル議長が法廷闘争に持ち込む可能性が高く、連邦裁判所から最高裁に至るまで長期化する見込みです。また、過去の判例では、連邦最高裁判所がFRBを「独自の構造を持つ準民間組織」と位置づけ、大統領に議長を解任する権限はないという見解を示しています。

これらの状況から、最終的にパウエル議長の解任が不当であるという訴えが認められる可能性が高く、解任の実現性は低いと考えられます。

アメリカのインフレ状況は現在どうなっていますか?
アメリカのインフレ率は、消費者物価指数(CPI)を見ると、総合、コア(食品とエネルギーを除く)、スーパーコア(さらに住宅などのサービス価格を除く)のいずれも、伸びの減衰が止まり、再びインフレが復調気味の状況にあります。

このインフレ再燃の兆候により、7月のFOMCでの利下げの可能性はほぼゼロになり、場合によっては年内の利下げ自体も怪しくなってきています。小売売上高も前月比では強い結果でしたが、実質コアで見ると過去と比較してそこまで強いわけではないため、今後のインフレの動向が注目されます。

なぜ日本のインフレは世界的に見ても高い水準で続いているのですか?
日本のインフレが継続している主な理由は、金融政策にあります。

日本の政策金利(0.5%)は、景気や物価を過熱も冷ましもしない「中立金利」(日本では大体1%から2.5%と推定される)の加減を下回っています。これは、金融政策が「金融緩和」の状態にあり、物価にアクセルを踏んでいる状況であるため、金融政策に由来するインフレ圧力が収まりにくいのが現状です。

さらに、この低金利は円安を招き、輸入物価の上昇を通じてインフレを加速させています。つまり、現在の日本の物価高騰は、かなりの部分が金融政策による「アクセル」に由来していると考えられます。

参議院選挙の結果は、日本のインフレにどのような影響を与える可能性がありますか?
参議院選挙の結果がどうであれ、日本のインフレはさらに続く危険性が非常に高いと考えられます。これは、各政党が物価高騰対策として、給付金の支給や消費税率の引き下げ・撤廃といった「財政拡張」を公約に掲げているためです。

現状でも金融政策によってインフレにアクセルが踏まれている状況に加え、選挙後に財政面でもさらなるアクセルが踏まれることになれば、日本は金融政策と財政政策の両面からインフレ圧力が強まることになります。これにより、長期金利の上昇、円安の継続、そして中長期的には株価の上昇といった展開が予測されます。

参議院選挙後の日本の長期金利と為替相場の見通しはどうですか?
参議院選挙後の日本の長期金利と為替相場は、以下の見通しです。

長期金利: 財政拡張により期待インフレ率が上昇し、「タームプレミアム」(いわゆる悪い金利上昇)も加わるため、長期金利は上昇する可能性が高いです。現在1.6%近くですが、年末には1.7%以上への上昇も想定されます。
為替相場(円安): 長期金利が悪い金利上昇と見なされることで、積み上がった円のショートポジションの解消が後押しされ、円安方向に進むと考えられます。また、日銀が多少利上げしても、実質金利がマイナス圏に留まる状況は変わらないため、為替市場での円安圧力は継続するでしょう。
これらの要因から、ドル円相場は150円台への回復がかなり近い将来に起こりうる展開として考えられます。

インフレは株式市場にどのような影響を与えますか?
一般的に、インフレは株式市場にプラスの影響を与える傾向があります。

企業の増収増益: インフレ下では、企業は値上げを通じて売上高と利益を増やす傾向にあります。特に日本の企業は、最近のインフレの中で価格設定を強気にしている企業が増えています。
名目値の上昇: インフレはモノやサービスの値段の数字が大きくなる現象であるため、名目値で評価される株式相場の数字も上昇することが多いです。
過去の事例: 2022年2月のロシア・ウクライナ紛争以降、世界中でインフレが進みましたが、トルコやアルゼンチンといった新興国だけでなく、アメリカ、ドイツ、日本などの先進国でも、インフレ率を上回る株価の上昇が見られています。
したがって、日本においてもインフレの継続は、中長期的に株価を押し上げる要因となる可能性が高いです。

円安の進行について、政府・要人からの牽制発言が出ていますが、これはどのような意味を持ちますか?
最近、青木官房副長官や加藤財務大臣から、円安を牽制する発言が出ています。具体的には、「投機的動向を含めて為替市場の動向を憂慮している」や「過度な変動に注意する」といった踏み込んだ表現が使われています。

これらの発言が、昨年ピークだった150円台後半と比較してまだ148円~149円台という段階で出ていることは、政府が円安に対して比較的早い段階から警戒感を持っていることを示唆します。

これは、日本が8月1日からアメリカから25%の関税を課せられる可能性が高まっている中、為替での円安が「非関税障壁」としてアメリカから指摘されている可能性を示唆しているのかもしれません。もしそうだとすれば、政府はこれ以上急速な円安が進むことを望んでおらず、155円や160円といった水準への上昇を抑えたい意図があると考えられます。

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