【GTFクマザワ1505】

十五〇五の記憶：町田ガレージ、交差する魂の円舞曲（ワルツ）
序：集いし風、町田の聖域   • 【GTFクマザワ1505】  
多摩の空が淡く光る頃、町田のガレージには、まるで吸い寄せられるかのように、かつての、そして現在の仲間たちが集い始めていた。
主宰であるGTFクマザワ氏の傍らには、高校時代からの無二の親友、漫画家の杉山大先生の姿がある。湯本高校という青春の原点で、共に同人誌を創り上げた日々。あの頃の熱量は、二十星霜（にじっせいそう）を超えた今も、ガレージの空気を震わせている。
「カツ丼部」の盟友・榎本氏、凄腕の溶接職人コモエスタ赤坂氏、そして温泉ツーリングの相棒・ジュン氏。電車事故の混乱を潜り抜けて合流したカメラマンのカシオペア氏が到着する頃には、ガレージは技術と情熱が渦巻く「男たちの遊び場」へと変貌していた。
破：鉄馬の鼓動と、紅（あか）き円卓
祝祭の主役は、一台の小さな鉄馬であった。女優・米澤成美の愛車、「よね牛号（AB〇七 拓途）」。昭和五十五年に産声を上げたこの初代タクトは、乾燥重量わずか四十九瓩（キロ）という、羽のような軽やかさを誇る。
「かかるかな……」と、米澤が不安げに踏み車（キック）を蹴る。蓄電池（バッテリー）の弱さを、技術と愛が補う瞬間。一蹴で蘇ったエンジンの鼓動は、ジュン氏が駆る二行程の覇者・ジョグの排気音と重なり、練習ツーリングへの号砲となった。
空腹を満たしたのは、ニコラス食堂の「辛い牛すじスープ定食」だ。目の前に並ぶ真っ赤なスープは、彼らの情熱を視覚化したかのよう。ピリ辛の絶品に舌鼓を打ち、おでんを分け合う。売り切れだったプリンへの未練さえ、仲間との語らいが心地よい笑いに変えていく。
急：匠の技と、久遠の友情
午後の陽光が差し込む中、話題は「GTFカスタムガン」へと移る。そこには、クマザワ氏が魂を削り出した技術の粋があった。
大手工場と共同開発した「GTFスプリング」と、一年を費やした「宮川ゴム共同開発パッキン」。それは、重量弾をも水平に、四十メートル先の標的へと導く魔法のパーツ。さらに、マックタクティクス製作による、三次元造形機（３Ｄプリンター）製の「プッシュコッカー」。これこそが、力の弱い女性でも容易なコッキングを可能にする革新の象徴である。そして、宴会での実用性をも兼ね備えたスタジオミクス製「栓抜き付きアルミグリップ」。
「大先生、これを」 クマザワ氏から杉山大先生へ贈られたのは、Ｍ二九リボルバー・カスタム。それは単なる贈り物ではなく、青春を共に駆け抜けた親友への、最大限の敬意の証であった。
結：夢の続き、サバゲホラーの地平へ
夕闇が迫る中、話題は杉山大先生が手掛ける新たな漫画「サバゲホラー」のネームへと及ぶ。 かつて教室の隅で夢を語り合った少年たちは、今もなお、バイクと鉄砲、そして物語という武器を手に、人生という名のサバイバルゲームを楽しんでいる。
米澤成美の成長した試乗レビュー、コモエスタ赤坂氏が手掛けた十万円のマフラーの行方、そして変わらぬ友情。町田のガレージに灯る明かりは、これからも「夢の続き」を照らし続けることだろう。