日本最古の水時計　謎に満ちた構造とは?

考古学チャンネルです。今回は飛鳥寺の北西にあった、水落遺跡をCGで完全復元して紹介します。水落遺跡は、660年に中大兄皇子が作ったとされる、日本初の、時を知らせる施設である、漏剋の遺跡です。漏刻とは、水槽から流れ出る水の量によって、時間を測る装置です。日本書紀には、660年に皇太子である中大兄皇子、後の天智天皇がはじめて漏剋を造り、民に時を知らせたとあります。水落遺跡では、中央に漆膜が付着した、方形の掘り込みのある花崗岩が据えられており、漆塗りの箱が置かれていたこと、導水・排水のための暗渠が設けられていること、堅固な基礎構造を持つことから、これが精密さを必要とする施設であり、こうしたことから。ここが漏剋の跡であると考えられています。
　漏剋が置かれたことは、古代中国が皇帝は土地だけでなく、時間も支配したことから、日本においてもそれに倣い、この時期から王権が時間の支配も始めたとの評価があります。そして漏剋からの鐘の聞こえる範囲が同じ時間と行動を共有した範囲で、それが飛鳥の地に他なりませんでした。役人たちが時間と共に行動するようになったのも、このときからであるとする説もあります。

【参考文献・サイト】
西本昌弘　「桜井屯倉・小墾田屯倉から豊浦宮（寺）・小墾田宮（寺）へ」『考古学論攷』47冊　2023
相原 嘉之「初期寺院の創建－７世紀前半における仏教寺院の導入－」 『明日香村文化財調査研究紀要』2020
相原 嘉之 「飛鳥古京から明日香へ 飛鳥地域における歴史的風土の形成過程」 『明日香村文化財調査研究紀要』
相原 嘉之　『飛鳥・藤原の宮都を語る 「日本国」誕生の軌跡』吉川弘文館　2018
著

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#水落遺跡 #天智天皇 #考古学チャンネル