冷蔵庫の裏側で戦争が始まる――家電とマルウェアの静かな共謀（2014年）

冷蔵庫の裏側で戦争が始まる――家電とマルウェアの静かな共謀（2014年）

2014年、私たちは知らぬ間に、家庭の中に“見えない侵略者”を迎え入れていた。冷蔵庫 テレビ ルーター 監視カメラ――それらは便利さと引き換えに、悪意ある命令に従う兵器へと変貌を遂げていたのだ。

Linux.Darllozという名のマルウェアは、更新されないままの家電に侵入し、仮想通貨Moneroを密かに掘り出す。そして感染機器をボットネットに組み込み、DDoS攻撃の矢となる。その静かなる働きゆえ、誰もが気づかぬまま“加害者”となってしまう。

実際、2014年には冷蔵庫がスパムを送っていたことが確認され、スマート家電10万台以上が犯罪に加担していた。同年、監視カメラの映像が外部から覗かれていた事例も発覚。2016年にはMiraiが爆発的に広がり、NetflixやTwitterを一時停止に追い込んだ。

家電は更新されず、パスワードは初期設定のまま。そうした「油断」がマルウェアに扉を開けてしまう。静かに佇む家電の奥に、戦争の火種はもう灯っているのかもしれない。今こそ、目を開くべき時である。