墓守がいない…「墓じまい」を検討する人が増加　永代供養墓や使用期限がある霊園　これからの供養の形

お盆には墓参りをされた方も多くいると思う。先祖を弔い、時には今を生きる私たちの心の拠り所ともなる墓だが、今ある墓をどう引き継いでいくか…はたまた自分が入る墓はどうするか…悩みは尽きない。最近では「墓じまい」を考えている人も多いという。

＜墓じまいが徐々に増加＞
墓じまいとは墓石を撤去して更地にし、遺骨を別の形で供養すること。福島県会津若松市にある金剛寺の山口史恭副住職は「ここの場合ですと、お子さんたちがみんな都会に出ていて、地元会津の墓は持ち切れないということで、ここに埋まっていた御遺骨を永代供養箱うつして更地にする」と説明する。
福島県内で、墓じまいを含む「改葬」は、この10年間で2000件から3000件ほどで推移していて、全国では2022年度に過去最も多くなっている。

＜寺が永代供養で弔う＞
横浜から訪れていた男性は「私みたいに子どもがいないとか、娘しかいないとなると、墓を面倒見る人が一人で多くの墓を管理しなきゃいけない。やはり後の世代には面倒かけたくないので、墓じまいというのが一番仕方ないかな」と話し、墓じまいについても検討しているという。
寺では、持ち主に代わり墓を管理する永代供養で弔う場所を確保している。金剛寺の山口史恭副住職は「永代供養墓というものを作って、みんなが一緒に拝める場所を準備するのがこれからの寺の責務かなと感じております」と話した。

＜街の人の考え＞
お墓について街の人からは「次の世代が期待できないから、墓じまいの方向で考えなくてはいけない」「樹木葬とか散骨とか子どもたちに迷惑がかからないような形で。お墓という形はとるつもりはない」「私は長男だが、実家から離れて暮らしている。墓を守る文化に配慮しながら、新しい形ができればいいかなと思っている」などの声が聞かれた。

＜墓じまいには注意点も＞
福島県内の石材店を取材すると、最低でも一基20万円以上の費用がかかるという墓じまい。また、墓じまいの問い合わせなどが増えているのに対し、新たに墓を建てる件数は墓石の価格高騰などから年々減少傾向にあるという。
墓じまいの背景には「跡を継ぐ人がいない」「子どもや孫に迷惑をかけたくない」などといった声が聞かれ、少子高齢化の影響も考えられるという。
ただ、親族に相談をせずに墓じまいをしてトラブルになるケースや、決断を急ぎ後悔するケースもあるという。

＜新たな霊園のカタチ＞
一方、福島県白河市に2024年8月にオープンした「メモリアルパーク白河霊園」の特徴は、墓の使用期限を設けていること。
期間は10年から最大50年までで、10年単位で延長をすることができ、墓じまいの追加費用がかからず最終的には複数の遺骨をまとめておさめる合祀墓に入る。
総合葬祭あおきの田中広美さんは「少子化でお墓を守っていく人がいなくなったという傾向にある。それで既存のお墓を守っていけなくなり、どうしたらいいかということで迷いが今きている」と話す。
2024年4月以降、県の内外から約600件の問い合わせが寄せられているという。

＜墓じまいの心配がない＞
この日、見学に訪れていた男性は「自分の墓はあるが、40代の次男家族の今後を考えて見学に来た」と話し、息子家族の墓について検討していた。男性は「お墓がいま一番心配。自分で立派なのを買っても、墓じまいが問題になる。こういうところだったら、墓じまいの心配もない。息子達に説明して、直接見たらどうかとすすめたい」と話した。
総合葬祭あおきの田中広美さんは「みなさん集まったときに、ご家族で見に来ていただいて、お墓の話を明るい感じでみなさんで相談して、足を運んでいただけたら幸いだと思いますね」と話す。

時代とともに、墓の在り方や考え方も徐々に変化しつつあるようだ。