【うつ病】軽度うつ病の症状5つ【精神科医が11.5分で説明】めんどくさい｜疲れやすい｜精神科

0:00 （１）はじめに
0:19 （２）うつ病と軽度うつ病
2:21 （３）軽度うつ病の症状5つ
2:29 ①落ち込みやすい
3:48 ②楽しめない
5:06 ③疲れやすい
6:29 ④めんどくさい
7:48 ⑤寝れない
9:08 （４）軽度うつ病の症状があった場合にできる対策
10:38 （５）まとめ

うつ病は重度になると影響が大きく慢性化しやすいため、「軽度うつ病」の段階で症状に気づき治療を始めることが大事です。「めんどくさい」「疲れやすい」などの代表的な症状があります。

「軽度うつ病の症状5つ」について、精神科医が11.5分でまとめています。
出演：春日雄一郎（精神科医、医療法人社団Heart　Station理事長）

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（１）はじめに

うつ病は重度になると様々な症状や影響が出ます。なるべく軽度のうちに気づいて治療を始めることが重要です。では、軽度のうつ病での特徴的な症状とは何でしょうか。今回は「軽度うつ病の症状5つ」についてご紹介します。

うつ病の症状に早い段階で気づくことができれば、適切な対処法を取ることができ、症状の悪化を防ぐことができます。この記事では、軽度うつ病の代表的な症状とその対策について解説していきます。

（２）うつ病と軽度うつ病

うつ病とは

うつ病は落ち込みなどのうつ症状が続く脳の不調です。主には脳内物質セロトニンの不足が背景とされています。重くなると影響は強まるため、早期治療が望まれます。

うつ病の主な症状は以下のように分けられます：

1. **こころの症状**：落ち込み、不安や意欲低下に加えて、集中力など脳機能の低下
2. **からだの症状**：不眠や疲れやすさのほか、各種の自律神経症状
3. **行動の変化**：人を避けたり、声が小さくなるなど、外から目立ちやすい変化

うつ病の主な治療法には以下のようなものがあります：

**休養**：ストレスから離れて頭をしっかり休ませる。働いている方は、しばしば休職が必要になります。
**薬物療法**：主には抗うつ薬SSRIを継続して服用し、必要に応じて補助薬を併用します。
**精神療法**：ストレスへの対処法の見直しなど。時に福祉の活用を含む場合もあります。

軽度うつ病とは

同じうつ病でも症状の強さは様々ですが、その中でもまだ症状が軽いうつ病を軽度うつ病と呼びます。うつ病の要件を満たすものの、社会生活への影響はまだ軽い状態です。この段階で気づくことで、重症化を避けて影響を減らすことができます。

軽度うつ病の段階で見つける意義は以下の通りです：

**悪化を防ぐ**：早めの治療で悪化を防ぎ、結果的に早めの改善が見込まれます。
**予後の改善**：早期治療では薬も効きやすく、治癒に至る可能性も高まります。
**再発や生活困難の予防**：早期治療で再発リスクを下げ、生活面の長期的な影響の発生を防ぎます。

（３）軽度うつ病の症状5つ

軽度うつ病でも早い段階から目立つ代表的な症状を5つ紹介します。

①落ち込みやすい

うつ病では、落ち込みがしばしば持続し、特にストレスに反応するとさらに落ち込む要因になります。人によってはストレスへの敏感さが目立つ場合もあります。また、否定的に考えすぎる「反芻思考」の形が目立つケースもあります。

軽度うつ病での落ち込みは以下のような形で現れます：

**理由が分からないまま**：重度でなくても慢性的な落ち込みが理由なく続くことがあります。
**ストレスに反応して**：ストレスに過敏になり、落ち込みやイライラなどの反応が強く目立ちます。
**嫌なことを考えて**：過去の嫌な出来事を思い出して繰り返し考える「反芻思考」でさらに落ち込むことがあります。

落ち込みやすいことの影響としては：

**仕事への悪影響**：落ち着いて仕事に集中することが難しくなります。
**対人トラブル**：特にイライラの形で表れるとトラブルに発展するリスクが高まります。
**孤立からの悪循環**：罪悪感から孤立し、反芻思考からうつ症状がさらに悪化します。

②楽しめない

軽度のうつ病では、以前楽しめたことが楽しめなくなることが特徴的です。専門用語では「アンヘドニア」と呼ばれ、脳レベルでの不調が背景にあると考えられています。意欲の低下や興味の減退といった他のうつ病の症状とも連動します。

軽度うつ病での「楽しめない」状態の例：

**どうせ楽しめない**：以前楽しめたことも楽しめないと強く予想してやらなくなってしまいます。
**何をしても楽しくない**：以前は楽しめたことをもう一度やっても、以前のように楽しく感じられません。
**義務感でやっている**：趣味でも自発的に行いづらく、やっても消耗するだけという結果になりがちです。

楽しめないことの影響：

**気分転換できない**：切り替えができず、ストレスの蓄積や反芻思考で悪循環に陥りやすくなります。
**行動が減る**：活動を自発的にしなくなり、引きこもり傾向になることもあります。
**対人関係の悪化**：楽しめない対人関係を避けるほか、相手から無愛想に見えて関係が悪化しやすくなります。

③疲れやすい

うつ病ではだるさと並んで疲れやすさが目立つことが少なくありません。一般的な疲れやすさと比べて影響が強く、休んでも回復しにくいのが特徴です。日常の様々な行動に強く影響し、悪循環の原因にもなりやすいので注意が必要です。

軽度うつ病での疲れやすさの例：

**いつも疲れている**：何かをする前から疲れを自覚し、活動に取り掛かりにくくなります。
**すぐ疲れる**：動き始めても、以前より早い段階で疲れ切ってしまいます。
**何をするのも大変**：同じことでも労力が非常に大きくなり、日常生活に圧倒されやすくなります。

疲れやすいことの影響：

**仕事がうまくいかない**：仕事に取り掛かれず続かないため、効率が大幅に落ちます。
**人間関係が辛くなる**：対人的な気疲れが大きくなり、人と一緒にいることで疲弊しやすくなります。
**日常生活の困難**：できることが大きく減り、日常生活にも圧倒されやすくなります。

④めんどくさい

うつ病の症状として、シンプルなことでもするのがめんどくさくなる場合があります。意欲の低下や興味の減退など、他の様々なうつ病の症状と連動して生じます。生活への影響は少なくない一方で、周囲からは理解されにくい側面もあります。

軽度うつ病での「めんどくさい」状態の例：

**日常のことも億劫**：入浴や片付けなどの日常行為を面倒に感じ、実際にしなくなります。
**人に会うのが億劫**：対人的な気疲れが特に面倒に感じられ、人を避ける原因になります。
**後に回したい**：仕事などをその場でするのが難しくなり、先送りにしてしまいます。

めんどくさいことの影響：

**仕事等の先送り**：仕事などで多くのことが先送りになり、全体に影響が出ることもあります。
**孤立**：億劫さから人に会わないようになり、距離ができて孤立してしまいます。
**日常生活の困難**：基本的な日常動作もしなくなった結果、身だしなみの乱れや生活の困難が生じます。

⑤寝れない

うつ病の症状として、しばしば早い段階から睡眠障害が見られます。寝られなかったり、寝られても疲労感が取れないなど様々な影響が出ます。睡眠の問題がうつ病の急速な悪化につながる場合も少なくないため、注意が必要です。

軽度うつ病での睡眠問題の例：

**寝付けない**：いわゆる「入眠困難」です。考えすぎや緊張の持続などから寝付くことが難しくなります。
**途中で目が覚める**：中途覚醒や早朝覚醒とも言われます。途中で目が覚めると、その後眠れなくなることが多いです。
**寝た気がしない**：浅眠とも呼ばれます。眠りが浅く回復感が得られないため、日中に眠気やだるさが残ります。

睡眠問題の影響：

**翌日の不調**：倦怠感が強く頭が回らず、仕事などのパフォーマンスが大きく低下します。
**うつ病の悪化**：眠れないことが刺激となり、病状が急速に悪化することがあります。
**事故などのリスク**：判断力が大幅に低下するため、ミスや事故のリスクが高まります。

（４）軽度うつ病の症状があった場合にできる対策

軽度うつ病の症状が見られる場合、まずできる対策を試し、それでも症状が続くなら受診を検討しましょう。

休養の確保

疲労からの悪化も少なくないため、まずはしっかりと休養をとり、症状が改善するかを見ていきます。ストレスも悪化要因のため、気分転換などのストレス対策も並行して行うことが大切です。特に睡眠の確保は重要で、不眠が強い場合は早めの受診が必要になります。

環境調整

仕事を含めた「環境からのストレス」がうつ病の症状を強めている場合があります。仕事の調整について相談するなど、ストレスを減らす方向での環境調整を行いましょう。働いている方であれば、有給休暇の取得は環境調整であり、同時に休養の確保にもなります。

受診の検討

休養や環境調整を行っても改善の見込みが立たない場合は、早めの受診が必要です。早期に受診して診断を受けることで、抗うつ薬などの治療も始めることができ、徐々に症状の改善を図っていくことが可能になります。場合によっては、仕事をしながらでは治療が難しいこともあり、休職して療養に専念する可能性も念頭に置いておくとよいでしょう。

（５）まとめ

うつ病は軽度であれば社会生活への影響は限定的ですが、悪化する前に早めの治療を始めることが望ましいです。

軽度うつ病の主な症状は次の5つです：
1. *落ち込みやすい*
2. *楽しめない*
3. *疲れやすい*
4. *めんどくさい*
5. *寝れない*

これらの症状が目立つ場合は、まず休養の確保や環境調整で改善の余地があるかを確認しましょう。それでも改善が難しい場合は、速やかに医療機関を受診して、適切な治療を開始することが大切です。早期発見・早期治療が、うつ病からの回復への近道となります。

こころ診療所グループ（医療法人社団Heart　Station）
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【監修者】
医療法人社団Heart　Station　理事長　府中こころ診療所院長　春日雄一郎
精神科医（精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医）
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。