遠い悲しみの総括 舞台録音 1977.12.25 @岐阜北高校演劇部
Автор: kiseki R
Загружено: 2023-02-26
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購買の前を抜けて右に折れると
木造の大きな扉がある。
目の前の扉を力いっぱいに引くと
がらがらと大きな音をたてて。
そして中に入れば
そこは真っ暗だ。
薄暗い部室。
入ったばかりは目くらましにあって
一瞬なにもかもが消える。
あの日もそうだった。
はじめて目の前で
その重い扉が開くと
一瞬、何もかもが消えた。
ただでさえ不安を抱えて来たのに
一瞬、何もかもが消えた。
そして
少し待ってやっと
うっすらと浮かび上がってきた。
笑い声と真剣なまなざしの女子高校生たちの映像。
大きなテーブルを囲む彼女たちは
今じゃいたるところに落書きが刻まれている
あのテーブルの
ツキ板の上に
肘を付いて熱く語っていた。
そのテーブルの向こうの一番奥
天井まである木枠のガラス窓からまぶしい陽射し
彼女たちを逆光にして輪郭だけ見せる。
圧倒的な女子高生。
全員がこちらへ振り向いた。
僕は蛇に睨まれた蛙になった。
あの日僕は、生まれてはじめてその言葉を思った。
部屋に入ろうとしたが
もうそれ以上は進めなかった。
急激にからだが緊張して
身動きできずに
もしかしたら
震えていた。
彼女たちは、
間違いなく「僕を」待っていた。
どう待っていた?
その男はどんな顔?
どんな背丈?
太ってるの?やせてるの?
不細工?
まあまあ?
もしかしてかっこいい?
なんてことはないか。
そんな期待しないほうがいいね。
でも
声がいいといいね。
無神経な奴はいやだな
繊細な人もどうだろね?
嫌なやつじゃなきゃいいんじゃない?
そう、いい人なら。
なんとかなるでしょ。
でも、どんな人?
私たちはあなたを待ってたのよ。
そういうことを
いっぱいいっぱい思った後に
彼女たちは僕を見たのだ。
そんなまなざしだった。
彼女たちの表情が見えてきた。
やっと。
つまり
僕の臆病な不安と
彼女たちの深刻な不安が渦巻くあいだ、
彼女たちは結局、
逆光のシルエットのままだったのだ。
そして
固唾が降りた?
そんな気がした。
僕の緊張が
少し解けた理由が
僕にわかった。
歓迎されてる。
少し好意的に。
シルエットの内側のやわらかい頬と
唇がゆるむのが見える
可憐な彼女たちだった。
彼女たちは僕を仲間に決めた。
すんなりと。
このときから
決定権はいつも
彼女たちにあった。
− 演劇部室に初めて入った日 1977.5.XX
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