中国の巨大ショッピングモールの現状 上海にスシローオープン 中山公园

進化する上海の巨大モール：中山公園「龍之夢」にスシロー登場の意味

2025年12月、上海の中核エリアの一つ「中山公園」にある大型ショッピングモール、「凱德龍之夢購物中心（長寧）」に、日本の回転寿司チェーン「スシロー」がオープンします。このニュースは、単なる新店舗の話ではなく、上海の商業施設と日本人居住区の現在を象徴する出来事です。日本の視聴者向けに、このモールとエリアの魅力を深堀りします。

「龍之夢」モール：中山公園のランドマーク

「凱德龍之夢購物中心（通称：龍之夢）」は、地下鉄2・3・4号線が交わる「中山公園駅」に直結した、地上8階・地下2階の巨大商業施設です。駅の改札を出ればすぐモール内という圧倒的な利便性が最大の特徴で、「でかい」「なんでもあります」との口コミがそれを物語っています。

館内はフロアごとにテーマが分かれており、買い物がしやすい構造です。かつてはGAPやZARAなどが中心でしたが、現在はスポーツブランドや多様なレストランが充実し、時代のトレンドに合わせてテナントを刷新し続ける“生きているモール”です。2025年9月の最新クチコミでも「非常によく維持され」ていると評価されており、賑わいを保っています。

なぜ「中山公園」エリアなのか？

このモールが「日本人向け」として特に興味深い理由は、立地にあります。中山公園周辺は、上海有数の日本人居住者が多いエリアとして知られています。モール内でも日本人の姿を見かけることがあるほどで、そのためか、これまでもユニクロ、GU、無印良品などの日系ショップが多く入店してきました。スシローの出店は、この確固たる日本人顧客基盤と日系商業文化の蓄積の上に成り立っています。

また、このエリアは交通の要所であると同時に、生活利便性の高い高級住宅地が広がる街です。巨大モールの隣には高級ホテル「ルネッサンス中山パークホテル」が併設されており、ビジネス客から観光客まで多様な人々が行き交います。つまり、「地元の日本人住民の日常の買い物の場」であると同時に、「上海を訪れた日本人旅行者が最初に立ち寄る可能性の高い場所」でもあるのです。

スシロー出店が示す「今」

今回のスシロー出店は、中国市場における日本食人気の堅調さを示す証左です。実際、同モールの惣菜品売り場では以前からテイクアウト用寿司が販売され、人気を集めていました。回転寿司というカジュアルな形態が、現地の生活者に受け入れられやすい形と言えるでしょう。

しかし、これは一つの通過点に過ぎません。上海のショッピングモールは激烈な競争を繰り広げており、「龍之夢」のように、日系ブランドを重要な客寄せ要素として積極的に取り込み、地域のニーズに合わせて進化し続ける施設だけが生き残っています。

まとめ：日常と非日常が交差する“上海の窓口”

中山公園の「龍之夢」モールは、多くの在留日本人にとっては「カルフール（スーパー）で買い物をする日常の場」であり、訪日経験のある中国人にとっては「親しみやすい日本ブランドに触れる場」であり、観光客にとっては「上海の膨大な消費文化を体感する非日常の場」です。2025年末、そこにスシローの看板が灯る光景は、上海という都市の国際性、商業の速さ、そして日本文化の確かな浸透を、一つのシンボルとして映し出しているのです。