自力で避難できない「医療的ケア児」の避難訓練　多発する大規模災害　個別の避難計画も必要

災害多発時代の中、災害弱者のケアも喫緊の課題となっています。
広島市は、２６日、自力での避難が難しいいわゆる「医療的ケア児」を対象にした初めての「避難訓練」を行いました。

広島市佐伯区に住む半田凛佳ちゃん。
生まれつきの病気で常に人工呼吸器が必要です。
今回の訓練は凛佳ちゃんのように、在宅で日常的に医療行為を必要とする「医療的ケア児」を対象に避難行動の課題を洗い出そうというものです。

想定したのは巨大地震。
家族不在の平日昼間に震度６弱の地震が発生し、停電や断水が起きた中での緊急避難です。
中でも停電は凛佳ちゃんにとって命に係わる問題です。

母親の要請をうけ担当者は福祉避難所の受け入れ態勢を確認し、早速、移動を開始します。
酸素ボンベやバッテリーなど必要な荷物の重さはおよそ１５キロ。
ヘルパーや近所の人の助けを借りながら自宅のある８階から１階まで凛佳ちゃんを運びます。

２６日の訓練は比較的スムーズに進み想定よりも早く完了。
凛佳ちゃんの体調に問題はありませんでしたが課題や改善すべき点は見つかりました。

【母親・半田千寿さん】
「今後、こういう災害がもしあった時、近隣の方は一番近くで、すぐに駆け付けてくださるので、そういうつながりを普段から大切にしていきたいと思いました」

【広島市障害自立支援課・佐渡学 補佐】
「ご家族だけで（避難が）難しいタイミングで災害が起こった場合に、どのように、ご家族以外の協力を得ていくかというところが非常に難しい問題」

広島市は２６日の訓練を検証したうえで、今後の避難計画などに反映させる方針です。

＜記者の目＞
取材した笹野記者によりますと、近年、世界的に災害が多発し避難を余儀なくされることは今や誰にでも起こり得ること。しかし、自力で避難できない人もいて周りの助けは不可欠。
県の推計では広島市内にりんかちゃんのような「医療的ケア児」がおよそ２５０人いるとされていて、その人にあった避難計画の作成も必要です。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
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