ヤマハTX650【1973 昭和48】

ヤマハTX650【1973 昭和48】
（VOICEVOX:青山龍星）
ヤマハ発動機が1973年に発売した4ストロークバイクTX650のご紹介です
このモデルはヤマハ初の4ストロークマシンであるXS-1をルーツに持つモデルです
ヤマハの並列ツインエンジンを進化させた高性能シリーズのひとつです
TX650の開発背景には1969年に完成したヤマハの袋井テストコースが深く関わっています
袋井テストコースによってヤマハは満足いくまで車両テストを行うことができるようになり
英国車に匹敵するハンドリングを実現するための操縦安定性テストが可能になったのでした
その結果TX650はトライアンフのボンネビルに負けない操縦性能を持つバイクとして誕生しました
TX650はトルクフルなエンジン性能を特徴としており、653cc並列2気筒エンジンは53馬力を発生しました
さらにフレームや足回りが一新され、高速域での安定性とスムーズな操作感を実現しました
またTX650には美しいフォルムとカラーリングが採用されています
1973年の初期型はシナモンブラウンの車体色が特徴的でした
当時のカタログでは朝もやの中パイプを燻らせる男性がTX650のそばに立つという静かな旅の情景が描かれています
このモデルは1974年に無鉛ガソリン対応エンジンを採用するなど改良が続けられ
1975年にはⅡ型が登場
安全装備や環境対策が充実し、マフラー形状やトリップメーター配置など細かなデザイン変更が行われました
いずれにしても、TX650のユニークな魅力は2気筒エンジン特有のサウンドと振動、そして中間加速性能にあります
4気筒バイクにはない「押し出しの強さ」が楽しめ、実用的な燃費性能も兼ね備えていました
そして1978年にはXS650スペシャルが派生モデルとして登場
XS650スペシャルは市場で大歓迎され、そのあおりでTX650は目立たない存在となっていきました
にもかかわらず、このバイクのエンジン性能と独特のテイストは一部の熱狂的ファンに支持され続けました
実際のところ、TX650のエンジンは1970年代のヤマハ技術の結晶でした
世界GPで活躍したケニー・ロバーツが駆った272度クランク750ccエンジンにもその技術が生かされました
現在の270度クランクを採用した並列2気筒エンジンの元祖といえる存在です
TX650は1980年に生産終了となりましたが、エンジン技術や車両デザインは後のモデルにも受け継がれています

#TX650#ヤマハ
TX650,ヤマハ,