第一話[ヴィシャスの目]音楽小説【She the punk】
Автор: STORY MUSIC 音楽小説
Загружено: 2025-08-05
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音楽小説
【She the punk】
第一話
[ヴィシャスの目]
poetry
雪が降っていた。
北海道の春は、まだ息をひそめている。
団地の壁に貼ったシド・ヴィシャスのポスターが、今朝も私を睨んでいた。
色あせて、端がめくれ、セロテープでなんとか留まっている。
でもその目だけは、毎朝私の心を刺してくる。
「おはよう、シド」
私はそう呟いて、ギターケースを背負う。
学校には持っていけない。でも、今日も音を鳴らさなきゃいけない気がした。
私はリナ、札幌生まれの17歳。夢はパンクスター。
みんなが未来の安定とか、推薦とか、資格とかに夢中になってる中、
私はただ、ベースを握っていたい。
そして、誰にも媚びない生き方で、世界に中指を立ててやりたい。
それが、私の「叫び」。
そして、シド・ヴィシャスから受け取った“答え”。
夕方、札幌駅裏のリハーサルスタジオ。
雑居ビルの地下。湿った空気と、うっすら煙草の残り香。
壁には知らないバンドのステッカーがびっしり貼られていて、まるで墓標みたいだ。
でも、私たちにはここが聖域。
「遅い」
ギターのマユがコードを鳴らしながら言う。
唇は真っ赤、目つきは鋭い。でも、ふとしたときに優しい音を出す。
「吹雪いてたんだってば」
私が言うと、ドラムのアスカが笑った。
「それ、今朝から晴れてんだけど」
私たちは3人。全員女子。全員、北国育ち。
バンド名は『INFINITY』。
意味? **「限界なんてねえよ」**ってこと。
永遠に吠え続けてやる。私たちの音で、誰かの眠った心に火をつけてやる。
「なあ、リナ」
リハのあと、アスカが言った。
「うちら、何のために音出してると思う?」
「……灰色をぶっ壊すため」
私は答える。マユが少し笑って、頷いた。
正解だ。
札幌の空は灰色だ。
ニュースも、学校も、親たちも、みんな何かを諦めたような顔してる。
でも、私たちは違う。
この音で、世界を鮮やかに染める。
それが私たち『INFINITY』のはじまりだった。
#灰色の世界をぶっ壊せ #音じゃない生き様でぶん殴れ #青春パンク #SheThePunk
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