歯周病の危険因子

今日は、今までの動画にも何度か登場してきた、歯周病のリスクファクターのお話しをしていきたいと、思います。

歯周病というのは、歯の周囲にある組織に炎症が起こって、進行すると歯を支える骨が吸収して、歯がグラグラし、最後は抜けてしまう病気です。
歯周病の直接の原因は、歯周病の原因菌によるもので、歯周病菌の出す毒素が歯茎の炎症を引き起こすことから歯周病は始まります。
そして、お口の中の細菌は、腸内細菌と同じで人間とは共生しているものなので、どんなにお口の中をクリーニングしても、菌の数が0になることは決してありません。
そして、どの程度の菌の数で、歯周病の病態が始まるかは、その人がもっている免疫力や、リスクファクターによって決まってきます。

つまり、細菌の数はそんなに多くなくても、免疫力が低いため歯周病になってしまったり、リスクファクターをたくさん抱えているせいで、細菌数は大して多くなくても、歯周病を発症してしまうということが、起こります。

では、そのリスクファクターには一体どんなものがあるでしょう。

大きく分けて、局所的なものと全身的なものに分けられます。

局所的因子には

歯石の沈着
歯の形自体が磨きにくい、又は歯にヒビがある場合
奥歯の根の股の位置が悪くデッドスペースがある場合
歯根が過度に近接している場合
など
叢生など歯並びが悪く磨きにくい場合
外傷性咬合や異常習癖など歯に負担加重がかかっている場合
合っていない人工物など、噛み合わせのバランスの崩壊
歯ぎしりやくいしばりなどでの、負担加重


全身的因子には

遺伝的要因によるもの
内科的疾患によるもの→例えば糖尿病、膠原病、リウマチなど
薬剤の副作用によるもの→抗てんかん薬、免疫抑制剤、狭心症の予防薬
精神的ストレス
ホルモンの分泌異常
思春期のホルモンの変化
妊娠によるホルモンの変化
更年期障害
骨粗鬆症
閉経期後の骨粗鬆症
喫煙、多量の飲酒
食生活の影響
などがあります。

このように、たくさんのリスクファクターがある中で、一番大きなリスクファクターは、喫煙と言われています。
喫煙が歯周病にどのような影響を与えるかについては、過去の動画の方も参考にして頂けるといいかと思います。

⭐️タバコと歯周病の関係＃綺麗なだけじゃダメ＃見た目ではわからない    • タバコと歯周病の関係＃綺麗なだけじゃダメ＃見た目ではわからない  

リスクファクターがあると、細菌の数が少ない場合にも歯周病に発展してしまう場合があります。
全身疾患に対する治療や、歯の形態や歯並びなど、自分では改善が難しいものから、禁煙や、食生活の改善など、自分でもリスクを減らすため取り組むことができるものもあります。

食生活では甘いもの、やわらかいものを多く食べる習慣は、歯周病の原因であるプラークを増殖させやすくします。また、不規則な食事、栄養の偏りも歯周組織の抵抗力を弱め、全身の健康に悪影響を与えてしまいます。

日常のプラークコントロールの技術を身につける、自分で改善できるリスクファクターは極力改善する。
自分では改善が難しいリスクファクターは、専門の機関で処置をしてもらう。
そして歯科医院で定期的なクリーニングでメインテナンスをしていく。
これら、一連の流れが功を奏して初めて歯周病はうまくコントロールされいい状態を維持していけるようになります。

日本人の40歳以上の男女の80%以上が侵されていると言われる歯周病は、なぜこんなに罹患率が高く、改善が難しいのか。
それは歯周病のコントロールにはプラークコントロールだけではなく、このようにリスクファクターに対するアプローチを様々な角度からやっていく必要があること、そして、こういう知識もっと広くいろいろな方に知ってもらう事が重要なのではないかと感じて、この動画を作りました。

今日も最後までご視聴いただきありがとうございます。
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