うつ病・適応障害と自律神経失調症は違いますか？【精神科医が約3.5分でご質問にお答えします】

「うつ病（・適応障害）」と「自律神経失調症」は違うのでしょうか。かたやこころの不調、もう一方は体の不調と、一見別物ですが、実際は共通点は多くあります。
精神科医が約3.5分でご質問にお答えしています。
出演：春日雄一郎（精神科医、医療法人社団Heart　Station理事長）
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（１）はじめに：うつ病（・適応障害）と自律神経失調症は違いますか？
ご質問にお答えします。今回は「うつ病と自律神経失調症は違いますか？」についてやっていきます。よろしくお願いします。今回のご質問は、「うつ病と自律神経失調症は違いますか？」という質問になります。まず、シンプルな答えとしては、定義や視点など違う、一見違うんだけれども、重なる点は多いという答え方をしたいと思います。

（２）うつ病と自律神経失調症の定義
うつ病の定義とをまず見ていきますと、これは落ち込み・意欲が低下するなど、いわゆるうつ症状が診断基準上は2週間以上、一定期間以上続く脳の不調になります。脳のセロトニンの不足などが影響すると言われているものになります。
もう一つに自律神経失調症の定義としては、身体のいろいろな場所に走っている自律神経のバランスが崩れる。それによるさまざまな身体の症状、主には緊張を表す交感神経が優位になっての不調、そして内科的な異常がないものというふうにされます。
こうすると、片方は落ち込み、片方は身体の症状ということで一見違うんですけれども、実は共通点が結構あります。

（３）うつ病・適応障害と自律神経失調症の2つの共通点
共通点の1つ目としては、うつ病・適応障害で自律神経症状というものがあります。うつ病・適応障害は、主には落ち込みとか意欲が出ない。こういった心の症状が主なんですけれども、実はいわゆる身体は症状、別名自律神経症状というのがあります。うつ病や適応障害によって自律神経の不調が出て結果、吐き気であったり、めまいであったり動悸であったり、こういった身体の症状が出ることがあるということになります。これは1つ目の共通点です。2つ目としては、自律神経失調症の原因が何ですかと言われたときに、うつ病・適応障害があるということです。もちろん、元から自律神経のバランスを崩しやすい敏感な方というのもいらっしゃいます。確かに気候が変動すると症状が出るという方もいらっしゃるんですけれども、よくよく聞いていくと、多くの場合はうつ病や適応障害が背景にあることが多いです。

（４）視点での診断名の違い（うつ病・適応障害と自律神経失調症）と治療法
ここでは、どういうことかと見ていくと、例えば同じ人がいて落ち込みがあって体の症状があるという方がいたときに、視点によって診断名は変わってくるというところがあります。からだという面に注目すると、内科的な原因はないいろいろな不調は出ていますから自律神経失調症と、メンタルでから見ていきますと落ち込みの症状があって、身体の症状もあるので、うつ病もしくは適応障害だということになってきます。
そして、治療法としては、自律神経失調症そのものの治療はないので、うつ病や適応障害の治療をしていきましょうということになります。そして、ある種のいわゆる自律神経失調症の症状というのは、うつ病や適応障害を見つけるサインの一つとも言えるのかもしれません。

（５）まとめ
今回は、うつ病と適応自律神経失調症は違いますかということで見てきました。うつ病・自律神経失調症は一見違う点が多いんですけれども、実は共通点がかなり多いです。そして、治療としては、基本的にはうつ病・適応障害に準じる治療をしていきます。そして、いわゆる自律神経失調症の症状は、うつ病・適応障害を見つけるサインとしても見ていただけるといいのかもしれません。

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