地歌《難波獅子》 Jiuta ''Naniwa jishi''

2014年8月17日よみうり大手町ホールで開催致しました「第70回 藤本昭子地歌ライブ」より、地歌《難波獅子》(歌・三弦替手：藤本昭子、歌・三弦本手：奥田雅楽之一。 Akiko Fujimoto (voice, sangen-kaete) , Utanoichi Okuda (voice, sangen-honte) play Jiuta ''Naniwa jishi'' at Yomiuri Ootemachi Hall, 17 August 2014.

　昨日YouTubeに公開致しました《吾妻獅子》に続き、「第70回地歌ライブ記念公演」からの《難波獅子》です。この日の地歌ライブは「獅子五題」と題し、《難波獅子》《八千代獅子》《越後獅子》《御山獅子》《吾妻獅子》の5曲をそれぞれ演奏形態を変えて演奏致しました。
　《難波獅子》は、九州系地歌ならではの三弦本手・替手による演奏です。九州系はこの曲を大切に伝承して参りましたが、近年、舞台で演奏する機会がことのほか少なくなってしまいました。10分ほどの短い曲で、さほど難しい手はありませんが、ほかとは少し異なる曲の運び、間の取り難さが「難しい曲」と思われ勝ちな所以ではないでしょうか。本手・替手の合奏部分は二段から成る手事だけで、前歌と後歌は同じ手の連れ弾きのため、二挺三味線でも一梃で弾いているかの如く、撥音が一つに聴こえることが一番気をつけなければならない点です。「撥音が割れてはダメ。お互いに探り過ぎず、息をしっかり感じながら集中しなさい」と、祖母、母から常に厳しく注意されました。
　一首目に日本の国歌《君が代》の歌詞がそのまま引用してあり、三首目が仁徳天皇の御製であることから、昨年の奉祝にあやかり、舞台はじめ、放送でも演奏の機会がありました。また「地歌ハンガリー公演２０１９」の実施年でもありましたため、海外の舞台でも何度も演奏して来ました。