中島みゆき 作詞・作曲『昔から雨が降ってくる』ピアノソロ:1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)使用
Автор: Kazutaka Tsutsui
Загружено: 2025-12-01
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本日(12/2)はワタクシの60回めの誕生日、いろいろありつつも59歳を迎えることができました。
さて恒例で、中島みゆきの『昔から雨が降ってくる』を、いつもの1894年製アンティークピアノで弾きました(*´-`)
*ワタクシの編曲譜はこちらから入手できます
https://store.piascore.com/scores/379184
『昔から雨が降ってくる』は、2007年4月15日にリニューアル再スタートしたMBS/TBS系ドキュメントバラエティ番組「世界ウルルン滞在記“ルネサンス”」のエンディング曲です。同番組のオープニング曲『一期一会』とともに2007年7月にシングルが発売、そして同年10月に発売されたアルバム《I Love You, 答えてくれ》のラストから2曲めの所収です👌 #昔から雨が降ってくる #一期一会 #中島みゆき
この曲ってば、そもそも題名が謎かけで考えさせられますよね〜。「雨が降っている」ではなく「雨が降ってくる」ですから、単純な「昔から雨が降り続けている」にとどまる程度の題名ではございませぬぞ。これ、言うなれば「昔降っていた雨がそのころの降り方そのままに、現在の我々にも降って来ているのだ」という、悠久の時の流れを象徴するまことに大きな題名だと思います。この意図を明解にしたいならば『雨が昔から降って来る』とするのが妥当でしょうが、こんなきっちりした題名な雨の降り方では詩的な情感もへったくれもなく、<なつかしく降ってくる>なぁんて情緒とはおよそ無縁になりますなw
<あの雨が降ってくる
僕は思い出す
僕の正体を
昔から降ってくる
なつかしく降ってくる>
だからこそのこのサビで、前世やそれ以前に<僕>が体験していたであろうさまざまを<あの雨>で象徴しているワケであります。現代に降っている雨は実は太古からの雨でもあり、これすなはち「時は循環して連続する」という、中島みゆきの楽曲に頻繁に登場する「輪廻転生」に通じる考え方でありましょう。そしてそれは、あらゆるひとの一生の中で育まれている過去から現在そして未来への人生行路をも象徴しており、転じて他者と人生体験を分かち合うところにまで想いを馳せたくなるような気にさせられますね〜💡
<昔、僕はこの池のほとりの
1本の木だったかもしれない
遠い空へ手を伸ばし続けた
やるせない木だったかもしれない>
やるせない【遣る瀬ない】とは辞書によると、憂い・悲しみを紛らわそうとしても、晴らしどころが無(くて、せつな)いという意をもちます。樹木は大地にどっしり根を下ろす力強く雄大な象徴であるばかりでなく、この1番の歌詞では遠い空に象徴される手の届かない存在に対するやるせなさの象徴。ある程度長く人生を経験していれば、誰しもこのような感情に駆られる時があっても仕方ないでしょう。まことに印象的な起承転結の「起」ですね。
<昔、僕はこの海のほとりの
1匹の魚(うお)だったかもしれない
話しかける声を持とうとした
寂しがる魚(うお)だったかもしれない>
魚は水中に生きる存在で、なるほど、いかにも声は出せなさそうですし、よしんば声を出せたとしても人類には聞こえないでしょうね。魚にとっての声に象徴される持ちたくても持ち得ない何かを持てずに寂しがる様子、これまたある程度長く人生を経験していれば、誰しもこのような感情に駆られる時があっても仕方ないでしょう。1番の<やるせない>を受けた2番の<寂しがる>が中島みゆきらしさ充分な、起承転結の「承」でしょう。
<昔、大きな恐竜も
昔、小さな恐竜も
同じ雨を見あげたろうか
同じ雨にうなだれたのだろうか>
この1連の前に穏やかな間奏が入り、ここで<恐竜>が入る2段だけ変ト長調(フラット6個)からニ長調(シャープ2個)への転調をぶっ込んでくる、というなかなか衝撃的な技術(実は単なる長三度下降にすぎないのですが)。ニ長調はフラットで書き換えればフラット10個の重変ホ長調で、ショパンならシャープでなくフラットで書いただろうなと思って楽譜にするときにチト迷ったのはココだけのハナシwww。太古から流れ続けている悠久の時の流れ、そして今も昔も変わらぬ喜怒哀楽・毀誉褒貶な人間模様に想いを馳せられる、名実ともに起承転結の「転」ですな。
<昔、僕はこの崖の極みの
1粒の虫だったかもしれない
地平線の森へ歩きだした
疑わない虫だったかもしれない>
ここまでの3連は<やるせない>とか<寂しがる>とか<うなだれた>とか、半端なく美しいのにどうにもこうにも後ろ向きで忸怩たる雰囲気に満ちていますが、ここで満を持して前に進む<1粒の虫>の登場であります。この将来に対する期待に満ちた高揚感、少し前に動画を出しましたねん😛
<砂は海に海は大空に
そしていつかあの山へ>(『小石のように』1979年)
この<1粒の虫>の一連で落ち着いた変ト長調からスッと半音上げて前向きなト長調に転調しており、曲も歌詞もグッと前向きに進むように書かれています。ほ〜んと、お手本のような起承転結の「結」ですね〜。
<あの雨が降ってくる
なつかしく降ってくる>
この動画で使っているピアノは100年以上昔、1894年製のアンティークピアノ。このような楽器を使ってこのような曲を弾くのはまことに愉しいです。現代では世間で聞こえる音のほとんどは電気を通していますが、このころに世間で聞こえていた音は生音が主流でした。1877年にエジソンが蓄音機を実用化し、このピアノが作られた1894年にはSPレコードの大量生産ができるようになって、次第に「録音」というシロモノが世間に知られるようになった時代。こんな時代の楽器がどれほど豊かな音世界を伝えていたのか、この動画で使っている楽器は奇跡的にオリジナルほぼそのまま、まさに時代の生き証人です。
古典鍵盤楽器奏者/筒井一貴 つれづれ草紙:http://bergheil.air-nifty.com/blog/
"HERE COMES THE ANCIENT RAIN(2007)" poem & music by Miyuki NAKAJIMA on an antique Bösendorfer piano with Viennese action (1894, 85keys)
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