中島みゆき 作詞・作曲『土用波』ピアノソロ:1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)使用
Автор: Kazutaka Tsutsui
Загружено: 2025-08-26
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中島みゆきの『土用波』を、いつもの1894年製アンティークピアノで弾きました(*´-`)
*ワタクシの編曲譜はこちらから入手できます
https://store.piascore.com/scores/359084
『土用波』は1988年にリリースされたアルバム《中島みゆき》のA面3曲めです。このアルバム《中島みゆき》は中島みゆきがレコーディングのためにコンサート活動を一時休止した、いわゆる「産休宣言」後に発売されたアルバムです。このアルバムのタイトルは実に困ったモンで、検索しようとするとアルバム以外がわんさか引っかかって来やがるんですよね〜🤣 #土用波 #中島みゆき
なお、土用波とは夏の「土用」(7月20日頃~立秋の前日まで)の時期のうねりの大きい波のことで、海水浴やサーフィンではさらわれないように注意するべき波とのことです。「土用」とは「季節の変わり目」のことで、そのような季節に押し寄せる「さらわれないように注意するべき大波」ですから、中島みゆきの歌詞の題材としてまことに好適ですな。
<昔の歌を聴きたくはない
あの日が二度と戻らないかぎり
なつかしい名前口ずさんでも
砂を崩して 土用波がゆく>
最初の2行は倒置法ですから、平易な文にすれば
<あの日が二度と戻らないかぎり
昔の歌を聴きたくはない
なつかしい名前を口ずさんでも
砂を崩して土用波がゆく>
ですな。
今の主人公にとって幸せだった<あの日>は<二度と戻らない>ワケで、それなら思い出したくもないと思うのが逆に強がりなことは往々にしてございます。そして幸せだった<あの日>を思い出そうと<なつかしい名前>を<口ずさんでも>、<あの日>は<二度と戻らない>という現実が突きつけられてしまうのでしょう。時の流れはたかが人間の意思なんて一切意に介さず、まことに無情であります。これぞ、土用波という「季節の変わり目に押し寄せる大波」という存在を「季節の変わり目に一切合切を流し去ってしまう」存在として暗喩しているゆえんで、さすがの中島みゆきの詩作力/思索力でありま〜す💡
<愛の重さを疑いながら
愛に全てをさらわれてゆく>
永遠に続くかと思っていたあの幸せな日々ですら終わってしまうなんて<愛の重さ>なんてそんなもんなのか、こんちくしょ〜、と<愛の重さを疑い>たくなるような経験は誰しもあるのではないでしょうか。だからこそ未練は募るばかりになって何も手につかず<全てをさらわれて>しまうほどになってしまう、それも<愛>なのであります。「一切合切を流し去ってしまう」土用波のイメージがここでピリッと効いてますね。
<伝えそこねた言葉のように
雨をはらんで 土用波がゆく>
<伝えそこねた言葉>の内容は主人公だけが知っていて、それを伝えられなかった相手はそれを知る術がないですね。<雨>が主人公の後悔の念と読み取るのは簡単で、まさに「後悔先に立たず」。ここでも「一切合切を流し去ってしまう」土用波のイメージが効きますね〜。
<あなたの髪から私の髪へと
流れ落ちる 土用波の音
溜息まじりの潮風を泳ぐ
折れたカイトに見覚えはないか>
<あなたの髪から私の髪へと><土用波の音>が<流れ落ちる>という表現は、聴覚的現象を触覚的現象に置き換えるという、詩作の妙技としか言いようのない見事な表現だと思います。さすれば<溜息>はお互いの溜息、<折れたカイト>はすなはち「空を飛べなくなった凧」であって、終わりを迎えたふたりの喪失感の象徴。その喪失感に対して<見覚えはないか>と問いかけるのは、自分だけでなく相手も同じような喪失感を抱えているんだよね、という確認のニュアンスもありそうです。う〜ん、めっちゃ切ないですな。
<流れゆけ流れてしまえ立ち停まる者たちよ
流れゆけ流れてしまえ根こそぎの土用波>
<立ち停まる者たち>とは、時の流れにあらがって<二度と戻らない><あの日>という過去にしがみつこうとしている主人公の象徴そして一般化でしょう。まぁそれ自体は仕方ないことですけれども現実としてはそこに留まり続けるワケにもいかず、<土用波>に象徴される無情な時の流れの力を借りて前に進むしかないんですよね〜。してみれば、「季節の変わり目に一切合切を流し去ってしまう」という<土用波>の力強さは、何かを終わらせてしまうと同時にそれを流し去ってくれて新しい自分に生まれ変わる原動力となり得る破壊と創造の両面を兼ね備えた力強さであり、やはり中島みゆきの歌詞に頻繁に出現する「転生」の原動力なんだなぁと思わされます。
<流れゆけ流れてしまえ根こそぎの土用波>
この動画で使っているピアノは100年以上昔、1894年製のアンティークピアノ。このような楽器を使ってこのような曲を弾くのはまことに愉しいです。現代では世間で聞こえる音のほとんどは電気を通していますが、このころに世間で聞こえていた音は生音が主流でした。1877年にエジソンが蓄音機を実用化し、このピアノが作られた1894年にはSPレコードの大量生産ができるようになって、次第に「録音」というシロモノが世間に知られるようになった時代。こんな時代の楽器がどれほど豊かな音世界を伝えていたのか、この動画で使っている楽器は奇跡的にオリジナルほぼそのまま、まさに時代の生き証人です。
古典鍵盤楽器奏者/筒井一貴 つれづれ草紙:http://bergheil.air-nifty.com/blog/
"HIGH SUMMER WAVES(1988)" poem & music by Miyuki NAKAJIMA on an antique Bösendorfer piano with Viennese action (1894, 85keys)
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