#5【2026年】シャンパーニュ　ソムリエ・ワインエキスパート試験対策

00:00【はじめに】
01:29【プロフィール】
03:03【経済】
04:15【歴史】
06:42【ブドウ品種】
08:24【A.O.C.】
09:49【四大ブドウ産地】
13:05【生産者の登録業態と略号】
16:00【シャンパーニュの醸造】

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📚【ソムリエ試験対策】フランス最北の銘醸地・シャンパーニュ完全解説！
――発泡性ワインの頂点、その歴史・地理・A.O.C.・格付け・製法まで――

本動画では、ソムリエ・ワインエキスパート試験の頻出テーマであるシャンパーニュ地方を、教本を超える深度で徹底解説します。
地図問題・記述問題・6択問題に対応できるよう、「なぜそうなっているのか」を理解軸に整理しています。

🏛️ はじめに

ソムリエ試験において、フランス・イタリア・スペインといったオールドワールドは、依然として最重要領域です。
近年は“単なる暗記”では太刀打ちできない、背景理解を問う出題が増加傾向にあります。
特にフランスでは、地図問題・記述式・6択形式が導入され、産地の位置関係・気候区分・ブドウ品種の対応など、より深い理解が求められています。

シャンパーニュは、A.O.C.や品種が限定的で覚えやすい反面、格付け制度・製法・歴史など“深掘り”が必要な産地です。
本章では、体系的に理解することで、「暗記」から「説明できる」知識へと変えていきましょう。

🍇 シャンパーニュのプロフィール

フランスのブドウ栽培地としては最も北限に近い位置にあり、パリから東へ約140km。
冷涼な気候と白亜質（チョーク質）の土壌が特徴で、世界で唯一無二の発泡性ワインを生み出します。

A.O.C.に認定された畑面積は約34,000haで、その7割をマルヌ県が占めます。
栽培農家は約15,000軒にのぼりますが、一軒あたりの平均栽培面積は2.5haにも満たず、
多くの農家が**協同組合（コーペラティヴ）や大手メゾン（メゾン・ド・シャンパーニュ）**へブドウを供給しています。

現在、全体の出荷量のうち約7割を**メゾン（N.M.）が占め、残る3割を協同組合（C.M.）やレコルタン（R.M.）**が担います。
この生産構造こそが、ブランド力と品質の安定を支える仕組みとなっています。

気候は年間平均気温11℃、日照時間は約1,680時間、降水量は約700mm。
海洋性と大陸性が入り混じる気候で、年によっては霜害に悩まされることもあり、
その繊細な気象条件こそが、酸の美しさとミネラル感を兼ね備えたワインを生み出しています。

💶 経済と出荷

シャンパーニュ地方は古来より交易の要衝でした。
12〜13世紀には「大市（おおいち）」と呼ばれる交易市が開かれ、フランス経済の中心として栄えました。

今日でも農業が主要産業であり、大麦・小麦・ビーツ・ブドウなどの栽培に加え、林業・牧畜も盛んです。
製造業では、**ニット製品の国内生産25％**を誇り、地域経済の支柱となっています。

2023年のシャンパーニュ総出荷本数は約2億9,870万本。
これはコロナ前の2019年水準にほぼ回復しており、うち57.7％が輸出。
10年前の45％から大幅に増加しており、海外市場への依存度が年々高まっています。

🕰️ 歴史

ブドウ栽培の起源は4世紀、古代ローマ人がもたらしたとされています。
当時は赤ワインが造られており、発泡性の技術はまだありませんでした。
のちに寒冷な気候の影響で発酵が止まり、英国に輸出されたワインが瓶内で偶然二次発酵を起こしたことから、
“泡立つワイン＝シャンパーニュ”が誕生しました。

1663年には英国詩人サミュエル・バトラーの著書『ヒューディブラス』に記録され、
1728年に瓶詰め輸送が正式に認可。
翌年、最古のシャンパンメゾン**ルイナール（Ruinart）**が誕生します。
その後、「モエ・エ・シャンドン」「ヴーヴ・クリコ」「テタンジェ」「ルイ・ロデレール」など名門メゾンが続々と登場。
ルイ15世が瓶輸送を解禁したことで、その発展は一気に加速しました。

1908年に地域境界が初めて定められ、1927年に現在の範囲が確定。
さらに2015年、「シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ」がユネスコ世界遺産に登録されました。

🍏 ブドウ品種

主要品種は3つ。ピノ・ノワール（39％）／ムニエ（33％）／シャルドネ（28％）。

ピノ・ノワール：モンターニュ・ド・ランス、コート・デ・バールで栽培。ワインに骨格と力強さを与える。

ムニエ：ヴァレ・ド・ラ・マルヌ中心。霜に強く、柔らかでフルーティーな味わい。

シャルドネ：コート・デ・ブランとセザンヌに集中。繊細でエレガント、ミネラル感が豊か。

その他、アルバンヌ／プティ・メリエ／ピノ・ブラン／ピノ・グリも認可されていますが、合計でも1％未満。
2022年には、**気候変動対応品種ヴォルティス（Voltis）**が新たに追加されました。
これは、ベト病・うどんこ病の両方に耐性を持つハイブリッド種で、シャンパーニュ初の革新的ブドウとして注目されています。

🗺️ A.O.C.と産地

シャンパーニュ地方のA.O.C.は3つ。

1️⃣ Champagne … 白・ロゼの発泡性ワイン。伝統的製法（瓶内二次発酵）。
2️⃣ Coteaux Champenois … 赤・白・ロゼのスティルワイン。地元消費中心。
3️⃣ Rosé des Riceys … オーブ県リセ村限定のピノ・ノワール100％ロゼ。希少で長熟タイプ。

生産の約9割を発泡性が占め、非発泡タイプはコレクターズアイテム的存在です。

🌿 4大ブドウ産地とグラン・クリュ

シャンパーニュは4つの主要産地に分かれ、それぞれ個性が異なります。

モンターニュ・ド・ランス：北部の丘陵地。日照豊富でピノ・ノワールの聖地。

ヴァレ・ド・ラ・マルヌ：谷地帯。遅霜リスクが高く、ムニエ中心。

コート・デ・ブラン：白亜質土壌。「白い丘」と呼ばれ、シャルドネ主体。

コート・デ・バール：南部オーブ県。キンメリジャン土壌。ピノ・ノワールの新名産地。

さらに、100％評価の17村がグラン・クリュ、90〜99％評価の42村がプルミエ・クリュとされています。
この「％」はブドウの使用比率ではなく、かつての**価格係数（評価率）**を示すもので、現在は制度として廃止されていますが、
品質を象徴する呼称として今も用いられています。

🏷️ 生産者の登録業態（C.I.V.C.略号）

ラベルに記載された略号を見ることで、生産形態が分かります。

N.M.（ネゴシアン・マニプュラン）：買付ブドウ＋自社ブドウで醸造する大手メゾン。

R.M.（レコルタン・マニプュラン）：自家栽培ブドウのみで自家醸造。小規模・個性的。

C.M.（コーペラティヴ・ド・マニプュラシオン）：協同組合による共同生産。

R.C.（レコルタン・コープラトゥール）：協同組合に委託醸造し、自分の名で販売。

S.R.（ソシエテ・ド・レコルタン）：一族経営の共同生産形態。

N.D.（ネゴシアン・ディストリビュトゥール）：完成品を購入し自社ブランドで販売。

M.A.（マルク・ダシュトゥール）：プライベートラベル（ホテルやスーパー用）。

試験頻出項目です。略号と意味をペアで暗記しておきましょう。

🥂 シャンパーニュの醸造（伝統的製法）

1️⃣ 収穫：房ごと手摘み（義務）。12万人が動員される大作業。
2️⃣ 圧搾（プレシュラージュ）：黒ブドウの皮色が移らないよう静かに搾る。
　→ 一番搾り：キュヴェ（Cuvée）、二番搾り：タイユ（Taille）。
3️⃣ 清澄（デブルバージュ）：12〜24時間静置し上澄みのみ使用。
4️⃣ 一次発酵：10〜15日間でスティルワインに。
5️⃣ マロラクティック発酵：任意。酸味の柔和化。
6️⃣ 調合（アッサンブラージュ）：リザーヴワインを加え、年を超えて品質を均一化。
7️⃣ 瓶詰（ティラージュ）：糖＋酵母を加え密閉、瓶内二次発酵へ。
8️⃣ 瓶内二次発酵：6〜8週間で発泡。ガス圧6気圧。
9️⃣ 熟成（シュール・リー）：澱と共に熟成。NV15ヶ月・V36ヶ月以上。
🔟 動瓶（ルミアージュ）：ピュピトルで澱を瓶口に集める。
⑪ 澱抜き（デゴルジュマン）：瓶口を凍結し澱を飛ばす。
⑫ 糖分調整（ドザージュ）：リキュール・デクスペディションで甘辛度を決定。
⑬ 打栓（ブシャージュ）：コルク＋ミュズレで固定、出荷へ。

これら一連の工程こそが、**Méthode Traditionnelle（伝統的製法）**と呼ばれ、
世界中のスパークリングワインの手本となっています。

🎓 まとめ

シャンパーニュは「偶然の発泡」から始まり、数世紀をかけて確立された芸術的なワインです。
その品質を支えるのは、冷涼な気候・精密な醸造技術・緻密な生産管理、そして何よりも**“変わらぬ味を守る哲学”**です。

試験では、

地図上での位置関係

主要品種の割合と特徴

伝統的製法の工程名（仏語も）

略号の意味（N.M.／R.M. など）
が特に問われます。

「なぜその土地で、そのブドウが、この味を生むのか」――
その背景を理解することが、合格への最短ルートです。

🎥 この動画では、単なる暗記を超えて“理由で理解する”学びをサポートします。
視覚で覚え、物語で理解し、自信を持って試験に臨みましょう。