【音楽ガチ分析】ビル・エヴァンス『Quiet Now』~ バッハのように"対話"するジャズ⁉ ルートは弾かない。リズムはズレまくり! 完膚なき繊細さで彩る至高のバラード
Автор: 音楽ガチ分析チャンネル
Загружено: 2025-09-13
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作曲家のトイドラが、ビル・エヴァンス『Quiet now』を分析します。
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4:15 分析はじめ
☆ さらに踏み込んだ追加分析(メン限)→ • 【音楽ガチ分析】ビル・エヴァンス『Quiet now』をもっと分析 ~ 隠された神秘...
〈ビル・エヴァンス(Bill Evans)〉
アメリカの音楽史上で重要なジャズ・ピアニスト。
モード・ジャズや内省的で繊細なピアノ・トリオ演奏で知られ、モダン・ジャズをさきがけた。
バッハやラヴェル、スクリャービンなど、クラシック音楽にも造詣が深い。
〈参考動画〉
ラヴェル「道化師の朝の歌」分析 → https://studio.youtube.com/video/JSGN...
ドビュッシー「水の反映」分析 → https://studio.youtube.com/video/VuXh...
バッハの技法「対位法」とは? → https://studio.youtube.com/video/q9Lo...
〈総評〉
【楽式】
・一般的なジャズの形式。
→「テーマ呈示 → インプロビゼーション → テーマ再現」という3部形式。
→インプロビゼーション部のコード進行は、テーマ呈示部のものを下敷きにしておりほぼ同じ。
【リズム】
・緻密かつ執拗にリズムをずらすことで、雰囲気を効果的に彩っている。
→入りを敢えて小節の頭から後ろにずらし、ハッと息を飲んだような効果を持たせる。非常に多用される。
→通常ルートの音は拍や小節の頭で鳴らすが、下行形のアルペジオを用い、あえてルートの鳴るタイミングを後ろにズラす。
これも非常に多用。
☆曲の重心が揺れ動き、焦燥や躊躇といった複雑な感情の揺らぎがグッと感じられるように。
☆瞬間的な根音省略(ルートレス・ヴォイシング)の響きを作り、フワッと浮いた響きにする効果も。
→左手で広い音程を抑える場合、ルートの音が前に食って打鍵される。
ジャズというよりクラシックピアノの技法。
☆これも曲の重心が揺れ動く効果アリ。
・緻密に変化するグルーヴによって、曲のノリが細かく変化する。
スイングの強弱や、3連符と2拍3連の混合によるポリリズムなど。
→特に3連符のリズムが非常に多用される!
・ピアノソロながら、複数声部のリズム的な絡み合い(対位法)が意識されている。
→伴奏がベタッと伸ばすだけ、というシーンがほぼなく、常にどこかの声部が動いている。
→逆に、メロディが細かく動いているときは伴奏はベタっと伸ばす。
入れ代わり立ち代わりのメリハリが強烈。
→エヴァンスが敬愛していたバッハの影響。
・サステインを切ることで、音の粒感を緻密に制御する。
→無音もグルーヴを作るための道具と考える。
いわば、音と静寂による掛け合いの意識。
【メロディ・和声】
・コードの中にも、横に動く声部の意識がある。
→テンションが、和声音というより倚音や先取音といった旋律音として使われている。
→旋律的な装飾音としてオルタード・テンションが組み込まれ、雰囲気に細やかな色合いを与えている。
→ラヴェルを思わせるような嫋やかさ。
・一方で、声部の動きは抜きにして、純粋なコードの響きだけを生かすシーンも多々ある。
→4度堆積和音や、密集のヴォイシングなど。
→コードの相矛盾する2つの特徴、すなわち「多数の旋律の集積である」vs.「1つの響きである」という特徴の両方がよく理解されている。
どちらかに偏ることなく、常に両方が同時に意識されている。
・テーマにおいて、メロディとベースラインの間に連続5度(反行)が含まれており、切ない雰囲気。
→ジャズ的には何のことはない音の並びだが、クラシック的には違反なのでちょっとスパイシー。
クラシックに造詣の深いエヴァンスがこの響きを気に入った可能性はある。
・ベースとなるコード進行は非常に単純な II-V-I だが、細やかな装飾音・変位音・テンション・ヴォイシングにより複雑に彩られている。
→mM7・m7♭5・7(♭13)・装飾的なオンコードなど。
→ラヴェルやスクリャービンを思わせる、印象派的な和声感。
特に、ドミナント・7thに#11thをつけた響き(属7下変)はスクリャービンっぽい。
・あえてルートを鳴らさないことで、浮いた響きを作る工夫。
非常に多く見られる。
→拍頭でルートを鳴らさず、一瞬響きを浮かせる。
ルートレス・ヴォイシングの技術と、ベースラインをメロディ的に動かす技術の合わせ技。
→逆に、頭でルートを鳴らすが、ルートの音を伸ばさず切ってしまう。
意外な工夫で面白い。
→多くの場合ルートはどこかで鳴らされるが、たまに鳴らされず欠如することも。
クラシックでは普通だが、ジャズではまれ。
・右手のヴォイシングがかなり密集したシーンが目立つ。
複雑な切なさを演出し、効果的。
→必然的に、11thや13といった高次のテンションが頻繁に出現。
→逆に、左手は非常に安定した開離配置。
左手は安定した分厚いサウンドで支え、その上に密集した不協和音の緊張感を盛り付けることでバランスを図る狙い。
・場所によっては音数がかなり少なく、メリハリがある。
→引き算が意識されており、効果的。
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作曲家のトイドラ → https://tomita-haruki.studio.site/
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