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仕留めたハンターが証言「毛が逆立って頭の大きさが倍に…しくじったら俺は」新聞配達員の命を奪ったヒグマと対峙した緊迫の瞬間 警察への通報は北海道で過去最多の5249件

Автор: HBCニュース 北海道放送

Загружено: 2025-12-26

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2025年は、北海道だけでなく、本州各地でクマによる深刻な被害が相次ぎ、かつてないほどの死傷者が出ました。北海道では8月、知床の羅臼岳で登山客の男性が襲われて死亡。クマとの危険な遭遇は、もはや森の奥だけに留まりません。

住宅街や公園、そしてスーパー、動物園に至るまで、これまで安全と信じてきた日常のすぐ近くで、クマの存在は脅威となりつつあります。

北海道南部の福島町では2025年7月、新聞配達中の男性が、民家のすぐ前で襲われ、クマの犠牲となりました。緊張が強いられる現場で、クマと対峙した地元のハンターが、初めてテレビカメラの前で取材に応じました。

◇《「クマも興奮しているから毛が逆立って」男性を襲って草むらへ…》
 2025年7月の朝、当たり前だった日常が突然、壊れました。居るはずのない脅威が、住宅地に現れたのです。

麻原衣桜記者(2025年12月取材)
「今年7月、クマに襲われた死亡した男性の遺体は、この草やぶの中で見つかりました」

2025年7月、北海道南部の福島町で、新聞配達員の男性(52)が、住宅の前でクマに襲われ、命を失いました。男性を襲ったクマは、そのまま男性を近くの草やぶに引きずり込み、死亡させた後、姿を消しました。

クマが駆除されるまでの間、福島町は、緊張を強いられることになったのです。

クマを駆除したハンター(70)
「クマも興奮しているから、毛が逆立って、普通の頭の倍ぐらいの大きさで近寄ってきていたもんだから」

北海道ではヒグマの出没が相次ぎ、本州では東北や北陸地方などで、ツキノワグマによる被害が急増。死傷者は全国で230人を数え、2025年は、かつてない深刻なクマ被害と直面することになりました。

◇《「あり得ない場所で襲われた」男性を死亡させ、姿を消したクマ》

クマによる死亡事故を伝えるHBCニュース(2025年7月12日放送)
「きょう未明、道南の福島町で新聞配達をしていた男性が、クマに襲われ死亡しました」

男性が襲われたのは、7月12日午前3時前の出来事でした。

目撃した人(2025年7月取材)
「目の前にクマが人間の上にかぶさるような状態が見えた…そのうちにクマが人間を引きずって…」

死亡事故を受け、出動要請を受けたハンターの男性が、カメラの前で初めて取材に応じました。クマの駆除に携わり20年ほど。これまでに120頭以上を仕留めてきました。

クマを駆除したハンター(70)
「驚きですね、まずは驚きました。まさか家のすぐ前で…というのがあって。(町では)ありえないところで襲われたっていうのが、率直な気持ちじゃないかな」

どこに潜んでいるのか、再び襲ってくるかもしれない。駆除までの間、福島町は、張り詰めた時間の中に置かれることになりました。

クマを駆除したハンター(70)
「私の場合は(被害が発生した日から)ほぼ寝ている時間は2時間か、そんなもんかな…それぐらい現場と役場には詰めていました」

◇《畑を荒らし、金属製の扉も破壊…住宅地で出没を繰り返す》
 7月12日に男性の命を奪ったクマ。襲撃後、その姿を潜める一方で、町の至るところに痕跡を残していました。

畑を荒らしたり、住宅の間を歩き回ったり。人の暮らしのすぐ傍で、クマは出没を繰り返したのです。

クマに倉庫を荒らされた店長
「主に段ボールとかプラスチックとか、食べ物と間違って(クマが)引きずっていっているのは間違いない」

クマにこじ開けられた金属製の倉庫の扉は、激しく壊れ、鍵の部分も大きく歪んでいました。

クマを駆除したハンター(70)
「藪の中に入っている分に関しては、まだ何とか(駆除の対応が)できるかなという考えもあったんだけれど、家と家の間を縫うようにして歩くとか、そういう状況で発砲ができるかって言ったら、それはとても難しい話で…」「二度三度とチャンスはあったんだけれど、やっぱり発砲できないという難しさはありました」

住宅地での発砲はリスクもあり、簡単ではありません。福島町でクマによる死亡事故が起きた当時は、人命に危険が迫っていると警察官が判断し、命じなければ、原則、発砲することができませんでした。

◇《「しくじったら俺はもうやられる」クマと対峙した緊張の瞬間》
取材カメラマン(2025年7月18日)
「警察官などが集まっている状況で、あの林の中で確保されたという情報もあります」

事態は7月18日、死亡事故から6日後に動きました。ハンターの男性は、男性の命を奪ったクマと正面から向き合うことになったのです。

クマを駆除したハンター(70)
「駆け付けたところ山の中で、バリバリバリバリ音がしていたから、ここにもう間違いないなということで…」

ハンターの男性が指示して、役場の車とパトカーが、現場付近を包囲。3メートルほどの距離まで、クマを引きつけたと当時を振り返ります。

クマを駆除したハンター(70)
「クマも興奮しているから毛が逆立っているから、普通の頭が倍ぐらいの大きさで近寄ってきていたもんだから…。『でかい』という感じと『しくじったら俺は、もうやられるな』っていう感じがあった…できるだけクマを近づけました」

そして、ハンターの男性は、接近したクマと対峙して、躊躇うことなく引き金に手をかけ、発砲したと話します。

◇《「絶対に敵を取ってやる…」4年前に女性を襲撃したクマと判明》
福島町の防災無線(2025年7月18日)
「ただいま、月崎地区にてクマ一頭を確保したのでお知らせします」

駆除されたクマは、体長2.8m、体重218kgもある大きなオスでした。DNA鑑定の結果、新聞配達員を襲った個体であることが確認されます。それだけではありませんでした。4年前、当時77歳の女性を死亡させていたことも明らかになりました。

クマを駆除したハンター(70)
「DNAの結果が一致したと言われたときには、正直言葉がなかったですね。(4年前に事故が発生した)あの時、おばあさんと約束した『絶対、敵(かたき)を取ってやるぞ』っていう…それが4年経ってようやく約束を果たせた」

◇《襲撃された登山客が死亡…札幌では男性が襲われるなど被害相次ぐ》
 そして、福島町での死亡事故から約1か月後のことでした。

中明寛人カメラマン(2025年8月14日取材)
「道警のヘリコプターが引き揚げているのは、担架に乗せられた人でしょうか」

 8月14日、北海道東部の羅臼岳で登山客の男性(26)が、クマによって命を奪われました。そして9月、札幌・西区の住宅街では、散歩中の男性が公園で、親子のクマに襲われ、重傷を負う事故が発生。

さらに11月には、札幌・中央区にある円山動物園にもクマが侵入。園内で大きな足跡が見つかり、動物園の防犯カメラには、クマの姿が記録されていました。

人の日常に接近し、脅威となりつつあるクマ。北海道警察に寄せられたクマ関連の通報は、2025年だけで5249件と過去最多にのぼり、道内の死傷者は6人となっています。

◇《「クマの分布は恒常的に市街地まで…」メスの割合上昇が影響》
 こうした状況の中、道立総合研究機構では、体毛やフンなどからDNAを分析し、クマの分布や行動の変化を追跡しています。札幌の市街地や近郊に生息するクマのDNA鑑定を詳しく分析し、研究した結果、興味深いデータが浮かんで来ました。

2014年までの5年間、メスの割合は30%でした。ところが直近の5年間では53.5%までに上昇。この割合の変化に、いま研究者は注目しています。

道立総合研究機構自然環境部釣賀一二三シニアアドバイザー
「最初は分散過程の若いオスが、市街地周辺に出てくるのが普通ですが、メスの個体がたくさん出て来るということは、かなり市街地までクマの分布が恒常的な形で迫っていることになります」

「生まれる子供はメスと行動するので、例えば、メスがあまり人を気にしない個体だったり、家庭菜園に定着したりすると、その行動は子供に伝わっていくので、問題を起こすことになっていきます」

◇《「生態も行動パターンも変わってしまった」クマが日常の脅威に…》
 北海道南部の福島町で2025年7月、そして4年前に人を襲い、2人の命を奪ったクマ。仕留めたハンターも警戒を強めています。

クマを駆除したハンター(70)
「クマはもう生態も行動パターンも変わってしまっているから、それに、われわれは何とか追いついていかなきゃない。その難しさっていうのはありますね」

クマは、人の暮らしのすぐそばに、日常の脅威として存在し始めている。2025年は、その事実を突きつけられた1年となりました。

道立総合研究機構の釣賀一二三シニアアドバイザー(自然環境部)は、クマとの危険な遭遇や事故を防ぐために、次のような指摘や注意を呼びかけています。

▽市街地周辺だとしても、短期間にすべて排除することは難しい。

▽周辺にクマがいることを前提に、しばらくは生活する必要がある。

▽生ごみの管理などを徹底して、クマを寄せつけないこと。

▽早朝や夜間など、クマが動き回る時間帯の活動を控えるなど。

【2025年12月26日(金)「今日ドキッ!」にて放送】

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