病気が軽症だったらいいのか重症だと悲惨なのか、精神科医が考えました。

【この動画の概要】
今日は、病気が軽症だったらいいのか重症だと悲惨なのか、こういったことについて考えていこうと思います。

〇病気の軽症・中等症・重症について
・病気の重症度は障害年金や精神障碍者福祉手帳の等級で分類されます。
・障害年金：国民年金は1級・2級、厚生年金は1級・2級・3級が設定されています。
・等級の目安：
・1級：部屋から出られない状態。
・2級：家から出られない状態。
・3級：外に出られるが何らかの障害を抱えている状態。

〇病気の重症度と本人の辛さの関係
・病気の重さと辛さには相関がありますが、完全には一致しません。
・病気の軽重が本人の苦しみと一致しない理由：
・自由な生活に苦痛を感じる方もいれば、枠組みのある生活に安心感を覚える方もいます。
・重症の方でも枠組みを受け入れ、充実した生活を送る人もいます。

〇軽症での困難
・統合失調症の場合、軽症の方はエネルギーのムラ（ドーパミンの不安定な分泌）が問題です。
・軽症の方でも「もっと頑張らなければ」という完璧主義や社会的プレッシャーで苦しむ人がいます。

〇重症での状況
・重症の方は生活の枠組みが決まっているため、それを受け入れられる人にとっては安心感があります。
・枠組みを窮屈に感じる人は苦しい場合がありますが、しっくりきている方は幸せに暮らしています。
・入退院を繰り返している方でも人生を楽しむ人も少なくありません。

〇うつ病やパニック障害にも同様の考え方
＜うつ病＞
・軽症でも薬の服用や自己管理への罪悪感で苦しむ人がいます。
・重症では抑うつ気分が強く、苦しみを抱える方が多いです。
＜パニック障害＞
・軽症の方でも過去の発作の記憶や再発の不安で苦しむ場合があります。
・発作が出ていない状態でも心の負担が大きいことがあります。

〇医師としての考え
・病気の軽重は患者の辛さに必ずしも比例しないため、診療では軽い・重いに囚われず個々の患者の苦しみに向き合うべきです。
・他人と比較して「あなたは軽症だから楽だ」と言うことは絶対に避けるべきです。
・他人の状態は患者本人には関係なく、個々の苦しみに寄り添う必要があります。
・この考え方は統合失調症に限らず、うつ病やパニック障害にも当てはまります。

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