#582
Автор: おおがや着物チャンネル【岡崎市・大賀屋呉服店・きものの知識・創業1804年】
Загружено: 2025-11-10
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おおがや着物チャンネル更新しました
#582 着物の値段はなぜ違う?
― その価格には理由がある。価格を決める要素とは ―
着物を見ていると、同じ「訪問着」や「小紋」でも値段が大きく違うことに驚かれる方も多いと思います。
なぜ、数万円のものから数十万円、さらには百万円を超えるものまであるのでしょうか?
実は、着物の値段は需要と供給のバランスだけではありません。「流通経路(チャネル)」「素材」「染め」「織り」「仕立て」「作家性(ブランド)」「季節性」といった複数の要素が組み合わさって決まります。
今回は、それぞれの要因を分かりやすく解説いたします。
基本的な前提
・機械より手仕事は高い(量産品か一品ものか)
・流通経路、販売チャネルにより値段は異なる
→同じ商品でもお店により価格が異なる
・高いには高いなりの、安いには安いなりの理由がある
・服である以上季節性はある
1. 素材の違い ― 絹か、化繊か、それとも麻か
着物の価格を左右する最も基本的な要素は「生地の素材」です。
● 正絹(しょうけん)
もっとも高級とされるのが「正絹」、つまり絹100%の生地です。
しなやかな光沢と肌ざわり、発色の美しさが魅力で、フォーマル着から普段着まで幅広く使われます。
糸の質や織り密度によっても価格は変わり、例えば同じ絹でも「紬糸」「生糸」「駒糸」などで風合いが異なります。
● 化繊(ポリエステルなど)
近年人気の「洗える着物」は、ポリエステルなどの化学繊維で織られたもの。
お手入れがしやすく価格も手頃で、1万円台から購入できるものもあります。
ただし、絹のような柔らかさや深みのある発色はやや劣ります。
● 麻・木綿
夏の普段着には「麻」や「木綿」素材も人気です。
天然素材特有の涼しさや風合いがありますが、手織りの麻などはむしろ高級品になることもあります。
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2. 織りと染め ― 技法の違いが価格に反映される
着物は「織りの着物」と「染めの着物」に大きく分かれます。
どちらの技法を用いるかによっても値段が変わります。
● 織りの着物(紬・お召など)
糸を染めてから織る「先染め」の着物。
代表的なのが「大島紬」や「結城紬」、「お召」などです。
手織りや高度な絣(かすり)技法が用いられているほど高価になり、1反で数十万円から百万円を超えるものもあります。
● 染めの着物(訪問着・小紋など)
白生地に染色を施す「後染め」の着物。
染め方の種類もさまざまで、
手描き友禅
京友禅や加賀友禅
型染め、ろうけつ染め
などがあります。
手作業で描かれる柄は一点ものの芸術品。
図案から色挿し、金彩まで一人の職人が仕上げる作品では、当然価格も上がります。
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3. 柄ゆきと加工 ― 手間と時間が価格に現れる
着物の柄には「無地」「小紋柄」「絵羽柄」などがあります。
このうち「絵羽柄(えばがら)」とは、仕立て上がったときに絵がひとつながりになるように染められたもの。訪問着や留袖などがこれにあたります。
柄合わせや染め工程に多くの手間がかかるため、価格は小紋より高めです。
また、金彩・刺繍・箔押し・絞り加工などの「後加工」も価格を大きく左右します。
手絞りや手刺繍は、職人が一点一点仕上げるため、機械染めやプリントとは比較にならない繊細さと価値があります。
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4. 仕立てと裏地 ― 着やすさと美しさの決め手
反物の価格に加え、「仕立て代」も重要な要素です。
機械縫い(ミシン仕立て)は比較的安価ですが、
手縫い仕立ては、職人が一針ずつ丁寧に縫い上げるため、着姿が美しく、長く着られる仕上がりになります。
この差は着心地にも大きく影響します。
また、裏地(胴裏や八掛)の質も見逃せません。
正絹の胴裏や染め合わせた八掛を使うと高級感が増し、その分価格も上がります。
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5. 作家・産地・ブランド ― 信頼と価値の証
着物には「誰が」「どこで」作ったかという背景も大切です。
たとえば、「加賀友禅」や「京友禅」などの伝統工芸指定品、
「結城紬」や「大島紬」などの産地ブランドは、国の指定や証紙で品質が保証されています。
さらに、著名な染匠や作家の作品は、芸術性と希少性から高い評価を受けます。
「この作家の一点もの」となると、まさに“着る美術品”としての価値が加わるのです。
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6. 価格=品質+技術+信頼
こうして見ていくと、着物の価格には単なる「高い・安い」だけでなく、
・素材の質
・職人の手仕事
・伝統技法
・仕立ての丁寧さ
・ブランドや作家の価値
といった多くの要素が重なり合っていることが分かります。
もちろん、価格が高いからといって必ずしも「良い着物」であるとは限りません。
大切なのは、「自分の着る場面」「お手入れのしやすさ」「好きな色柄」に合っているかどうかです。
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まとめ ― 納得できる一枚を選ぶために
着物は「布」ではなく、「技術」と「文化」が織り込まれた日本の伝統工芸です。
値段の裏には、職人の手間と時間、素材の質、染めや織りの工程、そして作り手の想いが込められています。
だからこそ、着物選びの際は価格だけで判断せず、
「どういう工程で作られているか」「どんな特徴があるか」を知ることが大切です。
岡崎市の大賀屋呉服店では、着物の素材や技法の違いをわかりやすくご説明し、
お客様の用途やご予算に合わせて最適な一枚をご提案しています。
ぜひ、実際に生地の風合いや色の美しさをご覧になりながら、
“ご自身にとっての価値ある着物”を見つけてみてください。
■お問い合わせ
おおがや
岡崎市連尺通1-4
https://www.oogaya.jp
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