精神科の入院費用って実際どのくらいかかるのか、精神科医が解説します。

今回は「精神科の入院費用って実際どのくらいかかるの？」というテーマでお話しします。

入院費用は保険制度の種類によって大きく異なります。
現役世代の方は3割負担、高齢者は1割、生活保護の方は0割負担です。
そのため、同じ医療サービスでも自己負担の金額は大きく変わります。

入院には「任意入院」と「医療保護入院（強制入院）」があり、最も多いのは後者です。
任意入院の場合、1日あたりの自己負担額はおおよそ5,000円〜8,000円。医療保護入院では1日1万円前後が目安です（いずれも3割負担の場合）。

この費用には病室の利用、3食の食事、医師・看護師・カウンセラーなどの人的サポートが含まれています。

また、自立支援医療制度を活用すれば、自己負担額は1ヶ月あたり2万〜7万円ほどに抑えられる場合もあります。
診断書の提出が必要ですが、経済的なハードルが下がるため、多くの方が利用しています。

入院のメリットは、外来や訪問では難しい「短期間での集中的な治療」ができることです。薬の効果を医療者が直接観察しながら細かく調整できるため、治療がよりスピーディかつ正確に進みます。

また、決まった時間の食事や消灯・起床により、乱れた生活習慣を立て直すことができます。スマホ依存や昼夜逆転のある方にとっても、大きな助けになるはずです。

一方で、個室を希望する場合は「差額ベッド代」が別途かかります。
病院によって異なりますが、1日1万〜3万円ほどが目安です。
必要ない場合は、必ず事前に個室希望を断っておくようにしましょう。

入院が必要になる場面というのは、突然訪れることもあります。
だからこそ、費用面・制度面の知識を事前に知っておくことは、ご自身やご家族を守るうえでも非常に大切です。

正しく理解して、安心につなげていただけたらと思います。

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