あなた、見せ合いましょうよ。燃え上がる夜【朗読・小説】

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   / @soyokaze39  

【作品名】
あなた、見せ合いましょうよ。燃え上がる夜【朗読・小説】

【ストーリー】
私が初めてゆうたに出会ったのは、三十二歳の春のことだった。あの頃の私は、正直なところ、男の人というものが怖くて仕方がなかった。いや、怖いというより、信じられなくなっていた、という方が正確かもしれない。二十代後半、私は一人の男性と付き合っていた。名前は言いたくない。

思い出したくもない。彼は優しくて、スマートで、私のことを大切にしてくれているように見えた。週末になると決まって会いに来てくれたし、記念日にはいつも素敵なレストランを予約してくれた。私は本気で、この人と結婚するのだと信じていた。でも、それは全部嘘だった。彼には妻がいた。

子供もいた。私は知らなかった。二年付き合っていたのに、何も知らなかった。気づいたのは、偶然だった。共通の知人の結婚式で、彼が奥さんと子供を連れて来ているのを見てしまったのだ。私は招待されていなかったその結婚式に、たまたま近くを通りかかって、

式場から出てくる人たちを眺めていただけだった。でも、見てしまった。彼が幸せそうに奥さんの肩を抱き、小さな女の子の手を引いて歩いている姿を。その瞬間、私の中で何かが音を立てて崩れた。彼に問い詰めると、彼はあっさりと認めた。「ごめん、言えなかったんだ」と。

それだけ。謝罪の言葉すら、どこか他人事のようだった。私の二年間は、彼にとってはその程度のものだったのだ。それから私は、男の人を信じることができなくなった。どんなに優しい言葉をかけられても、どこかで「この人も嘘をついているんじゃないか」と疑ってしまう。

誰かに好意を持たれても、素直に受け取ることができない。心の奥底に、いつも冷たい塊があって、それが私を守ると同時に、誰かを愛することからも遠ざけていた。友人たちは次々と結婚していった。結婚式に呼ばれるたびに、心から祝福しながらも、どこかで寂しさを感じていた。

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