【囲み取材】“トー横”を舞台にした人間模様を描く舞台『Too Young』が開幕!(日澤雄介・宮﨑秋人・綱啓永・朝海ひかる)
Автор: 株式会社ミニシアター通信
Загружено: 2025-11-14
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ワタナベエンターテインメントDiverse Theater 第二弾 舞台『Too Young』が2025年11月13日から24日まで、東京・新宿の紀伊國屋ホールにて公演中。
「Diverse Theater」は、その名の通り「多様さ」をコンセプトに、様々なクリエイターやプロデューサーとのコラボレーションを通じて、既存の演劇の枠に囚われない表現を探求するプロジェクト。既成概念にとらわれず、常に新しい挑戦を続けることで、観客にこれまで体験したことのない感動をお届けすることを目指している。
舞台「Too Young」では、独特の世界観で注目を集める劇団チョコレートケーキの古川健が脚本を手がけ、演出は同劇団の日澤雄介が担当。
そして、物語の舞台となるのは、現代の若者文化を象徴する場所として知られる新宿歌舞伎町の“トー横”。このリアルな舞台設定が、物語にさらなる深みと現代性をもたらす。
主演を務めるのは数々の舞台に出演し、実力派俳優として活躍の場を広げている宮﨑秋人、また、現在人気急上昇中の綱啓永、そして確かな存在感を放つ朝海ひかるらが顔を揃え、複雑な人間模様が織りなすドラマを鮮やかに描き出す。
13日には、開幕に先駆けて囲み取材と公開ゲネプロが行われた
公開ゲネプロ前の劇場ロビーに、演出を務める日澤雄介、宮﨑秋人(本郷信吾役)、綱啓永(ジャック役)、朝海ひかる(亀山裕子役)が登場し、囲み取材に応じた。
――主演を務められる宮﨑さんにお伺いいたします。綱さん・朝海さんとは初めてのご共演です。第一印象や、稽古を通して印象的だったエピソードなどがあれば教えてください。
宮﨑 同じ事務所の綱とは、彼が事務所に入った頃からの仲ですが、一緒に仕事をするのは初めてです。今回久しぶりに会って、当たり前ですが大人になったな、少年がいろいろな経験を重ねて大人になったんだなと、プライベートでもお芝居を見ていてもすごく感じました。でも、稽古終わりに焼肉を食べに行くと「僕、牛タンがあればそれだけでいいです!」と言って、だいたいいつも牛タンをひたすら食べていて。そこは少年のままだなと思って、ちょっとほっとしましたね。朝海さんとはビジュアル撮影で初めてご挨拶させていただきました。凛とした方で最初は少し緊張したんですが、稽古が始まってみたら、柔和な方でとても接しやすくて。印象に残っているエピソードとしては、スケジュールの関係で、だいたい稽古が始まってから朝海さんが稽古場に入られることが多かったんです。あまりにも静かに、スッと入ってくるので、朝海さんがいらっしゃることに日澤さんが全然気づかない(笑)。だから日澤さんがいつもソワソワしながら、朝海さんが入ってくるのを見逃さないようにしていたのが印象的でした。朝海さん、こんなにオーラを消せるんだなって。
日澤 本当にね、朝海さんを見つけるのが僕の仕事みたいになっておりまして(笑)。忍者みたいで、わからないんですよ。だから「時間だけど、朝海さんは入られてますか?」「もういらしてますよ」「えええ、いつ来たの⁉」ということが何回かありました。
朝海 そもそも、日澤さんがほかの方と話しているときに、私がその背後を通って稽古場に入っていたっていうだけなんです(笑)。私がオーラを消せるとかではないんです。
――和気あいあいとした稽古場の雰囲気が伝わってきました。日澤さんは、この作品にどのような想いを込めて演出をつけられたのでしょうか。
日澤 「トー横」「トー横キッズ」という存在はもちろん知っていたんですけれども、自分とは別の存在のように感じていました。それが(劇団チョコレートケーキの)古川の台本を読んで、稽古を重ねて、皆さんのお芝居を見て、改めていろいろ考えていくと、どんどん共通する部分が見えてきたといいますか。社会のなかに自分たちの居場所がないということは、僕たちが子どもの頃にも少なからず経験していることであって、それがこの時代、この社会のなかで表出してきたのが「トー横」なんだと。人間の生きづらさ、コミュニケーションの難しさは、年齢を重ねた我々「大人」のなかにもあって、みんないろいろなものを抱えているんだなということを改めて感じています。この作品は「トー横」という場所の話ですけれども、それをもう少し広げて、「大人」たちをふくめた人間一人ひとりが持っている辛さ、生きづらさ、難しさに焦点を当てて描ければいいなと思い、演出しました。
――キャストの皆さんにお伺いいたします。それぞれ演じられる役とご自身の似ている点、異なる点について教えてください。
綱 演じる前は、ジャックは自分とは全然違うな、と思っていました。僕は顔役のように真ん中に立てる人間ではないし、僕なんかに演じられるのかな、と。でも稽古を重ねていくなかで、不思議とジャックと僕自身が重なっていく瞬間がたくさんありました。ジャックには曲げられない信念があり、僕にも大事にしているものがあるので、そういうところは似ている、通じる部分があるのかなと思います。
朝海 亀山裕子さんと似ている部分というと、誰にでも合わせてしまいがちなところかなと思います。皆さん大人になるにつれて、処世術みたいなものを学ばれていくと思うんですが、その表の部分の感じは「わかるなあ」と思います。ただ、裏の部分となったときに、本当の自分とどう向き合うか、人に対する本当の気持ちと向き合えるのか。人それぞれ弱い部分があるものですが、そういうところは亀山さんの弱さとして描かれているのかなと思います。私自身はしっかり人と向き合える人間になりたいなと、役を演じるうえで勉強させてもらいました。
宮﨑 正直なところ、初めて脚本を読んだときは本郷信吾について「好きじゃないなあ、こんな男」と思ったんです。現代の人って初対面の相手にいきなり距離感を詰めなかったり、そもそも関係性がもっと希薄だったりするなかで、本郷は他人にとって入り込んでほしくないところに、土足でズケズケ踏み込んでいく印象がありました。僕自身、どんな役を演じても「観た人に絶対に好かれるお芝居」をやってきた自信があるんですが、今回ばかりは「これ、嫌われ役かも」と(笑)。それはそれでおもしろくて楽しいかなと思っていたんですが、そういう部分と自分をどんどん近づけていったら、最初の人物像とはまた違った本郷信吾という人物ができていきました。本番で舞台上に立っている本郷は、宮﨑秋人と、古川さんが書いてくださった本郷の中間地点の人物になったのかなと思います。役と似ているところという意味では、今はほとんど自分と一緒というか、距離を感じなくなりました。
――日澤さん、もちろん「全部」だとは思いますが、舞台全体を通してぜひ注目してほしいポイント、シーンはありますか。
日澤 やはり全部ではありますが、そのなかでも「生きづらさ」みたいなものを随所で表現したいと思っています。本郷さんがいろいろな人——「トー横」の人たち、亀山さんや高田さんにも接していきますが、誰かと会うときに人がその距離感や、表と裏の顔をどう使い分けるのかということは、注目していただけるとすごくおもしろいと思います。本郷さんと亀山さんお二人でのシーンが何回か出てきますが、関係性の変化でどんどん色が変わっていくんですね。それで最後にドロッと核心に向けて動いていく。一方の本郷とジャックは水と油の関係なんですけれども、別の方向からの変化が訪れて、最後にこの二人がどうなっていくのか、というところはぜひ注目していただけたらと思います。
――これから観劇される方にメッセージをお願いいたします。
朝海 ぜひ劇場に観に来ていただいて、この作品が、周囲の方たちと「トー横」の話や、子どもたちの話、社会の問題、そういうことを話すきっかけになったらと思います。
綱 舞台は毎回同じものにはならないので、一回観て、もう一回観たら感じ方も違うでしょうし、僕たちのお芝居も変わっていくと思います。一回だけではなく、ぜひ何度か観に来ていただけたらうれしいです。よろしくお願いします。
日澤 いよいよ初日ということで、本番を観るのが僕自身とても楽しみです。お客様に最後のピースを埋めていただくことで、作品が完成します。ぜひとも劇場に足を運んでいただいて、観終わったあとには少し心が軽くなっていただければなと思っております。
宮﨑 今回キャスト7人のうち3人が初舞台です。彼らが日澤さんと一緒にたくさん稽古して成長していく姿を横で見させていただいて、僕も自分の初舞台を思い出したり、初心に帰る現場になりました。彼らのがんばりを、親心で観に来てもらえればなと思います。
綱 もうお兄ちゃんですね(笑)。
――綱さん、今回、役づくりで金髪にされてみてどうですか。
綱 逆にどうですか? 似合ってますか?
――似合ってます。
綱 髪色を変えること自体が3年ぶりくらいなんです。ずっとカラーを入れることから離れていて久々に染めたんですが、気分が上がりますね。今回は「トー横の顔役」という役どころなので、根本の伸びてきている部分もそのまま、あえてリタッチをしていない、という表現をしています。そういうところまでこだわっているので、観に来てくれたらうれしいです。
――宮崎さん、タイトルの『Too Young』にちなんで、若さを感じたエピソードを教えてください。
宮﨑 僕自身は稽古場であまり雑談するほうではないんですが、若い子たちはどうしてその話題でずっと盛り上がり続けられるんだろう、と思いました(笑)。3人がよくわからない話題でキャッキャと盛り上がっているのを見ると、若くていいなと思いますね。「兄弟編成、何人でしょうか?」みたいなクイズを出していて、「なんだ、その会話⁉」って微笑ましかったです。
――宮崎さん、「トー横」を題材とした社会派の作品を通して、人として・俳優としてどのようなことを感じられましたか。
宮﨑 『Too Young』という作品が、歌舞伎町や「トー横」というところに目を向けるきっかけになり、(「トー横」について研究されている)佐々木チワワさんとお会いすることもできました。これまでは「トー横キッズ」の子たちに注目することもなかったのが、目が向くきっかけをつくってもらったということが、すごくいい経験になったと思っています。自分にとって得体が知れないから、歌舞伎町を怖い場所、「トー横キッズ」を怖い存在だと感じていましたが、知れば知るほど、どうにか手を差し伸べることはできないかと考えるほどに、自分の気持ちが乗るようになりました。
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