なかなか良くならない患者さんの特徴 うつ病、発達障害など
Автор: 精神科医がこころの病気を解説するCh
Загружено: 2021-11-25
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00:35 治療抵抗性とは
02:21 治療抵抗性があるとは
今日は「治療抵抗性とは何か」というお話をします。
なかなか治療がうまくいかない、治療が進まないということがあります。
同じうつ病でも良くなる人もいれば、なかなか良くならない人もいます。
これはどういうことなのかということです。
■治療抵抗性とは
治療がうまくいきにくい人の条件として、医師の中ではこのように言われています。
・一時的な反応ではない
一時的な治療では済まず、人生をかけて5年、10年と続いてしまうようなものを「治療抵抗性がある」と言ったりします。
半年や1年くらいで完結するような場合は治療抵抗性とは言いにくいです。
・認知の変化が起きにくい
患者さんに「こういう風に考えてみたら?」と言ってもなかなか考え方を変えにくい。
生活スタイルも変えにくいし、頑固だったりします。過去の失敗にもすごく囚われてしまったりなど、変化の起きにくい人は治療抵抗性が高いと言います。
もちろん精神科の病気は脳病なので、病気が持っている未知な部分で抵抗があることもあります。
今後の医学の進展によっては、治療抵抗性のうつ病と普通のうつ病は別の疾患だという可能性もあるわけです。ですが、ひとまずそのことについては検討しないようにします。
■治療抵抗性があるとは
治療抵抗性があるとはどういうことか、生物心理社会モデルでお話しします。
生物的な体質、心理的な外傷、社会的な背景などを考えて、予後や重症度、治療がうまくいかない感じを検討したりします。
・体質:遺伝子
「体質」というのは遺伝で決まるので、遺伝子的な問題も考えます。
認知の変化が起きにくいということなので、知的な問題があるのか、発達障害があるのか、パーソナリティ障害があるのか、不安の感受性が高いのか低いのか、依存の問題の有無などを考えます。
このような問題が、同じうつ病、躁うつ病、統合失調症などの病気にプラスしてあれば、治療がうまくいきにくいということがわかります。
これは診察の中でだんだんわかっていくこともあります。
心理検査をしなくても長く付き合っているとわかってきます。
後は、初診の段階でわかるとすれば「家族歴」です。
親族に同じような病気があるのかがわかると、その人も同じような素質を持っている可能性があるので、遺伝的な問題を予想することはできます。
(注)ここで言う遺伝子は、本当に遺伝子的な問題があるというのはまだ医学的にわかっていません。ただ、このような遺伝的な問題はあるだろうと想定して、診察や臨床を行っています。学術論文的にはまだわかっていないけれど、臨床的にはわかっているという水準の、体質・遺伝子的な問題です。
・外傷:記憶、学習
「外傷」とは、嫌なことがあった、傷ついたということです。
記憶の問題であったり、学習や体験のことと言い換えても良いかもしれません。
これはどのようにわかるかというと、養育環境、教育歴、虐待の有無などです。
こういったことで外傷性、記憶やトラウマをはかったりします。
トラウマがあるということは、あまりにもその記憶、傷が深いので、どこにいてもその記憶に戻ってしまうということです。トラウマから逃れにくいのです。
傷が浅ければ他のことで上塗りできますし、それで忘れてしまいます。
ですが、あまりにも傷が深いと、脳が「この記憶、傷は重要なことだ」と勘違いします。
生死に関わることだから、この記憶は絶対に忘れてはいけない。たった1回かもしれないけれど、絶対に忘れてはいけないのだと思い、忘れられなくなってしまいます。
忘れられないので、どんなに新しいことや良いことがあっても、上書きしようと思っても、また同じ場所に戻ってしまうということです。
この外傷の傷の深さはタトゥーとは言いませんが、そのような怖さがあります。
このようなことがあると治療抵抗性になるかと思います。
・社会
体質や外傷とは質が違いますが、「社会的な背景」も治療抵抗性を語る上では必要かと思います。
疾患にもよりますが、男性か女性かによっても治りやすさは違いますし、業種、結婚しているかしていないか、体の病気があるかないか、年齢などの要素によっても治療抵抗性がわかったりします。
この辺りのことは自殺の予測因子でもあります。
男性で体の病気を持っていて独身というと、自殺率は上がります。
僕らが診療をしていて、この人の治療がどうしてうまくいかないのかを予測するときは、このようなことを考えながら臨床しています。
逆に、このような問題が自分にあるなと思ったとき、治療がうまくいかなくても焦らないでください。
ネットを見ていると、「この人すぐに良くなったな」「同じような感じなのに、この人はすぐに治って私は甘えているのかな」などと思うかもしれませんが、そうではありません。
生物・心理・社会的な問題があるとやはり治療はなかなかうまくいかなかったりするので、ドクターショッピングや自分を責めるということではなく、そういうことなのだと事実を淡々と受け入れていく、それを治療につなげていくことが重要かと思います。
今回は治療抵抗性について解説しました。
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一般の方向けに、わかりやすく、精神科診療に関するアレコレを幅広く解説しています。動画における、精神分析や哲学用語の使用法はあくまで益田独自のものであり、一般的(専門的)な定義とは異っているところもあります。僕がもっとも説明しやすいとたまたま感じる言葉を選んだだけなので、あまり学術的にとらないでいただけると嬉しいです。
早稲田メンタルクリニック院長 益田裕介
『自己紹介』
益田裕介
防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年都内で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。
趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。
2020年6月5日より断酒継続中。
【参考】
厚労省みんなのメンタルヘルス https://www.mhlw.go.jp/kokoro/
カプラン 臨床精神医学テキスト第3版
倫理規定について https://note.com/mentalyoutubers/n/nb...
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